日本人は5人に1人が睡眠不足とみられている。スタンフォード大学医学部精神科の西野精治教授は「『睡眠負債』を解消するには休日の”寝溜め”では足りない。例えば、40分間の睡眠不足を取り戻すには3週間かかる」と指摘する——。

※本稿は、西野精治『睡眠障害 現代の国民病を科学の力で克服する』(角川新書)の一部を再編集したものです。

家のベッドの上で体調の悪そうな若い女性が額に腕をのせている
写真=iStock.com/Martin Dimitrov
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3000万人が睡眠障害である可能性

アメリカにおける潜在的な睡眠障害の人口比率を参考にすると、日本人の総人口は約1億2400万人ですから、潜在的な睡眠障害の患者は約3000万人くらいいても不思議ではありません。

アメリカの場合、7600万人のうちの約半分はなんらかの治療を受けておりそのほとんどが、睡眠薬、サプリメントです。その内訳は、21%くらいが処方薬、26%が薬局で購入できる市販薬、残り数%がサプリメント等での治療をしているとされます。

日本国内における詳細な数字は把握できていませんが、サプリメントに頼っている人が多いかもしれません。現在、日本で処方箋なしで買える睡眠薬は抗ヒスタミン薬だけ。それでもある製薬会社では、この抗ヒスタミン薬の売り上げが70億~80億円規模という状況ですから、使用している人が相当数いることが推測できます。

アメリカで睡眠障害の患者が増えてきたのは、単純な話ですが、睡眠障害が一般的に知られるようになってきたのが第一の要因です。睡眠医学の研究が進み、睡眠障害への認識が高まると、さらに増えるのではないでしょうか。

日本も同じように考えていいと思います。もしかすると、その予測を超えるかもしれません。なぜなら、日本人の睡眠時間は、海外と比べると明らかに短いからです。