新型コロナウイルスの感染拡大で、夏の東京五輪開催が風前の灯となってきた。今や焦点は「1年延期か、2年延期か」。小池百合子都知事、安倍晋三首相、トランプ米大統領、そしてバッハIOC会長という4人の胸の内をにらむと、見えてくるのは「1年延期」だ――。
聖火が格納されたランタンをもつ柔道男子の野村忠宏さんとレスリング女子の吉田沙保里さん、2020年東京五輪・パラリンピック大会組織委員会の森喜朗会長
写真=AFP/時事通信フォト
聖火が格納されたランタンをもつ柔道男子の野村忠宏さんとレスリング女子の吉田沙保里さん、2020年東京五輪・パラリンピック大会組織委員会の森喜朗会長=3月20日、宮城県東松島市の航空自衛隊松島基地

4氏は来年までに「自分の選挙」を抱えている

小池百合子都知事、安倍晋三首相、トランプ米大統領、そしてバッハ国際オリンピック委員会(IOC)会長。この4人の今後の日程をにらむと、興味深いことに気づく。

小池氏は7月24日に開幕する予定の東京五輪の直前、7月5日に、東京都知事選が待ち構えている。

トランプ氏は11月3日に行われる大統領選で再選を目指す。

安倍氏は来年の9月末に自らの総裁任期を迎える。そして同年10月までに衆院選を行っていない場合は衆院の任期満了を迎える。

バッハ氏は来年、8年の任期が満了し、秋にも行われるIOC総会で再選を目指す。

つまり、東京五輪のカギを握る4人は、今年から来年に向けて、自身にとって重大な選挙を抱えている。全く偶然ではある。しかし、五輪のような世界的な大イベントを自分の選挙に最大限利用しようと考えるのは当然だ。今となっては「予定通りか、中止か、延期か」の判断を自分の選挙に有利な方向に持ち込もうと考えていることだろう。