ある意味でコロナ対応策で打ち出した最大のサプライズ

安倍晋三首相が打ち出した「全世帯に布マスクを2枚届ける」という方針が、大炎上している。

新型コロナウイルスの爆発的な拡大により、マスク不足は今なお続いているが、緊急事態宣言がいつ出るかという緊迫した局面での「マスク配布」の知らせに、国民はずっこけてしまった。しかも2枚。絵に描いたような「Too Little, Too Late(少なすぎ、遅すぎ)」の対策だ。降ってわいた「アベノマスク」騒動とは一体なんなのか。

布製マスクを着用して参院決算委員会で答弁する安倍晋三首相=2020年4月1日、国会内
写真=時事通信フォト
布製マスクを着用して参院決算委員会で答弁する安倍晋三首相=2020年4月1日、国会内

前日からつけていた「小ぶりのマスク」は記者団の話題だった

ある意味で安倍政権がコロナ対応策で打ち出した最大のサプライズだった。安倍氏は1日の政府対策本部で、再利用が可能な布製のマスクを全世帯に2枚ずつ配布する方針を表明した。

安倍氏は、政府が電機メーカーのシャープがマスク生産を始めるなどした結果、3月には月6億枚の供給が可能になり、さらに月7億枚を超える供給体制を確立できるという見通しを示した上で、「依然として店頭では品薄の状態が続いている。本日、私もつけている布マスクは、洗剤を使って洗うことで再利用が可能だ。全国で5000万枚あまりの世帯、1住所あたり2枚ずつ配布する」と宣言したのだ。

前日から安倍氏は布製で小ぶりのマスクをつけていた。最近流通している不織布のサージカルマスクではなく「昭和のころのマスク」というものだった。安倍氏の「特異な」マスクのことは記者団の間でも話題になっていた。それが、国民にプレゼントされることになったのだ。

マスクは、新型コロナが日本で広がり始めた1月下旬から日本の薬局やコンビニで入手困難になっていた。政府はそれ以来、マスク対策に力を入れる姿勢を見せてきた。それから2カ月以上たったが、今も足りない。国民の間でフラストレーションがたまっている時の「2枚」配布発言だ。