新型コロナウイルスとの闘いは、一向に出口が見えない。そんな中、司令塔である安倍晋三首相が国民から見放されつつある。7年以上にわたる長期政権の中、安倍氏は危機対応で強さを発揮してきた。しかし「コロナ対応」で迷走が続き、支持率が急落している――。
半月の間に5ポイント以上も下落する「緊急事態」
4月10~13日に共同通信社が行った電話世論調査では、安倍内閣の支持率は3月26~28日に行った前回調査より5.1ポイント減の40.4%。不支持は43.0%で、支持を上回った。半月の間に5ポイント以上も下落するとは、こちらも「緊急事態」だ。
ほぼ同時期に行った各社の調査もだいたい同様の傾向が出ている。理由ははっきりしている。「新型コロナ対応」のまずさだ。
2月末、小中高校を一斉休校するように要請した時は、あまりに唐突な決定に対し、マスコミや野党はかみついたが、国民は比較的高い評価を下していた。だから3月の安倍内閣の支持は高止まりしていた。だが、4月に入り激変した。
「休業補償すべきだ」という意見は82%に
共同通信の世論調査結果に戻ろう。
まず緊急事態宣言のタイミングについて。「遅すぎた」が80.4%。適切だったはわずか16.3%。安倍氏は、小池百合子東京都知事らが早期の宣言を求めたが、なかなか決断しなかった。そして宣言とともに、民間事業所などへの休業要請を行おうとした小池氏に横やりを入れたことも響いたのだろう。
小池氏は会見で「(自分が)代表取締役社長かなと思っていたら天の声がいろいろ聞こえまして、中間管理職になったような感じ」と、政府側の理不尽さを嘆いてみせた。感染者急増をみて、できるだけ早く、強力な措置を期待していた国民の多くは、小池氏の側に立ち、安倍氏に失望した。
要請に応じて休業した店舗などへの休業補償を拒否し続けていることも評判が悪い。共同通信社の調査では「補償すべきだ」という意見は82%にのぼった。