全国民の心をつかんだ「ステイホーム週間」という言葉

いまや小池百合子東京都知事が、テレビや新聞に登場しない日はない。新型コロナウイルスの対応で連日、記者会見を開き、感染防止や最新情報を発信。その存在感は、安倍晋三首相をはるかに上回る。

2カ月後に迫った都知事選は、圧勝も予測されている。ただ、彼女は事実上の「信任投票」のような形で再選するほどの実績を積み上げているのだろうか。冷静に考えてみる必要がある。

ことしのゴールデン・ウイークは「ステイホーム週間」という言葉がすっかり定着した。元キャスターで、発進力のある小池氏が記者会見などで呼びかけた言葉だ。環境相時代はクールビズを導入。自ら広告塔となり定着させた。今回のコロナ対応でも小池氏は、東京都民だけでなく全国の心をつかみ「ステイホーム週間」を広めた。

4月7日、緊急事態宣言を発出する前後、商業施設などの休業要請をただちに行いたい都と、当面は外出自粛による効果を見定めたいとブレーキをかける国側が激しく対立した。小池氏は「(自分が)代表取締役社長だと思っていたら、中間管理職だった」と、国が横やりを入れてきたことを痛烈に批判。結局、休業要請は11日から行われることになったが、この対立について国民は、圧倒的に小池氏を支持した。

写真=時事通信フォト
5月5日、新型コロナウイルスに関する緊急事態宣言の延長決定を受け、記者会見する東京都の小池百合子知事

都連とも手打ち、現状は圧勝モードだが…

都知事選に向けた構図を確認しておきたい。小池氏は進退を明言していないが、出馬するのは確実だ。

小池氏は、前回2016年の知事選では、自民党などが推す増田寛也元総務相を破って勝利。その後、小池氏と自民党都連の間では、長くしこりが残ったが、今年に入ってから党本部の二階俊博幹事長が間に入って「手打ち」し、自民党が小池氏を推す流れになっている

都連関係者の中には「『手打ち』は東京五輪の前に都政を混乱させるわけにはいかないという理屈での『休戦協定』だった。五輪が1年延期になった今、再び主戦論が台頭するかもしれない」という声もあるというが、五輪よりも重大なコロナ対応が続く中、小池氏と自民党が再びたもとを分かつことはないだろう。