コロナ拡大防止で成果

アジア屈指の娯楽大国タイが、新型コロナウイルスの拡大防止で成果を上げている。3月後半に1日当たりの感染者が200人近くに達したが、4月27日には一桁にまで減った。一時は医療崩壊も心配されたタイが、窮地を脱しつつある裏に、酒なし・外食なし・マッサージなしの徹底した「3密」対策がある。

バンコク中心部の歓楽街「ソイ・カウボーイ」――。150メートル余りの小路に、飲んでさわって連れ出せる「ゴーゴーバー」が立ち並ぶ。世界中から男たちが集い、ピンクのネオンの下、水着姿のゴーゴーガールや、美しきニューハーフをかき分けて進む。そんな光景はいまは見られない。

ネオンが消えた歓楽街「ソイ・カウボーイ」

きっかけはタイのキックボクシング「ムエタイ」だった。5000人以上が詰めかけた競技場で6日に行われた試合後、クラスターが発生し、国内の累計感染者数が3桁に乗った。6年前のクーデターで政権を握った元軍人、プラユット首相が動いた。徹底した3密対策が矢継ぎ早に繰り出される。

手始めはバンコク首都圏の娯楽施設の営業停止だ。パブ、ナイトクラブ、映画館、加えて学校が閉鎖された。17日発表で18日から実施。日本でみられた「関係省庁と都知事との綱引き」による空転は見られなかった。

タイを訪れる観光客が必ずと行っていいほど訪れるマッサージ店も閉鎖された。「マッサージがないタイってこんなに味気ないのか……」。知人の日本人駐在員からため息が漏れたが、まだ序の口だった。

閉鎖されたマッサージ店。マッサージ・スパに従事する労働者20万人が、6月までに職を失うと言われる。