今後4年間、都政を預かる「適任者」といえるのか

野党側は統一候補擁立を模索している。れいわ新選組の山本太郎氏が有力候補として語られることも多いが、野党内には山本氏に対するアレルギーも少なくない。山本氏は4月30日の記者会見で、自らが出馬する可能性は排除しないものの、「(小池氏が)日常的にテレビ露出しているわけなので、緊急事態が続けば続くほど、圧勝のムードは盛り上がるだろう。対抗馬として立つのはなかなか難しい」と事実上の不出馬宣言をした。

前都知事の舛添要一氏がリベンジを目指しているという観測もある。舛添氏はコロナ対応をSNSやテレビ番組などで安倍政権や小池氏のコロナ対応を厳しく批判しているが、今の小池氏の勢いを止めるのは難しいのではないか。

無投票になることはないだろうが、事実上の信任投票のような形で小池氏が勝つ。これが永田町の見立て。現状を見る限り小池氏は再選に向けて死角がない。

だからといって、小池氏が今後4年間、都政を預かる適任者といえるわけではない。

五輪延期を見届けてから、手のひら返しでコロナ対応へ

まず、コロナ対応。冒頭に記したように4月以降の彼女の立ち居振る舞いは目立っている。だから忘れられてしまいがちだが、その前の出足は鈍かった。

3月12日に小池氏は首相官邸で安倍首相と会談したが、東京五輪に関しては「中止という選択はないのではと思う」と述べていた。さらに3月19日の定例記者会見では「以前から申し上げているように、中止も無観客もありえない。開催都市として、いかにして安心安全な大会にできるか」と予定通りの日程、規模での開催を強調していた。

今回の感染拡大は3月20、21、22日の3連休で国民の自粛ムードが緩み、多くの人が街に出て「密」をつくったことが原因とされる。その3連休前、小池氏はほとんど発信をしていない。五輪問題で頭がいっぱいだったのだろう。

小池氏がコロナ問題で前面に出始めたのは3月25日。都民に対し、平日の自宅勤務や、不要不急の外出自粛の要請をした時だ。その前日の24日、東京五輪の1年延期が正式に決定している。五輪延期を見届けてから、手のひらを返したようにコロナ対応へ乗り出した形だ。