山中伸弥教授「東京では検査数の実態がわからない」
本腰を入れ始めてからの対応も、問題はある。連日記者会見などで発信しているので情報公開が進んでいるような印象を受けるが、実際はそうではない。例えば日々のPCR検査数など基本的なデータがよくわからないこともある。
京都大iPS細胞研究所長の山中伸弥教授は自身のウェブサイトで「(都道府県別の実効再生産数・Rtを測定しようとしたが)東京では、新規感染者を見つけるための検査数の実態を知ることができなかったため、計算は断念しました」と記している。
感染拡大が始まってから小池氏同様、大阪府の吉村洋文知事が目立っているが、吉村氏が大阪府内の感染状況を積極的に公表している。これと比較すると東京都は心もとない。
国との連携の悪さも、しばしば指摘される。緊急事態宣言を出す前後の国との足並みの乱れは先ほど触れたが、その後も、国のコロナ対応の担当者、西村康稔経済再生担当相との「相性」は、明らかに悪い。
4年前の都知事選で掲げた「7つのゼロ」はどうなったのか
都知事として4年間の仕事にも触れておきたい。小池氏は4年前の都知事選で「7つのゼロ」を掲げて戦った。待機児童ゼロ、介護離職ゼロ、残業ゼロ、都道電柱ゼロ、満員電車ゼロ、多摩格差ゼロ、ペット殺処分ゼロ。「ペット」などは成果をあげたが、多くの項目は十分な成果をあげていない。「満員電車」ゼロは、コロナの影響で期せずして今は、実現しているが、これは小池氏の功績でないことは、いうまでもない。
知事の4年間の実績とコロナ対応。都知事選では、この2つがきちんと検証される必要がある。再選に向けて「死角」はないが、その「資格」があるとは言いがたいのだ。
最後に1つ、流動的要素があることを指摘しておきたい。都知事選が予定通り7月5日に行われない可能性があるのだ。地方選の延期は法整備が必要だが、2011年、東日本大震災の後には被災地の地方選が延期になったこともある。コロナ禍が続けば都知事選も延期になるかもしれない。
そうなった場合、小池氏のコロナ対応が冷静に検証され、投票日のころは彼女に逆風が吹いている可能性がある。「再選」確実の空気は一変するかもしれない。