集いを成功させるための2つのルール

これまでの経験から、集いを成功させるためにはずせない自分なりの2つのルールがあります。

1つ目は、「いい意味で独裁的であること」です。知人に頼まれて、イベントなどの立ち上げを手伝う機会も多いのですが、何でも合議制で進めていくというケースが結構多いことに驚きます。どんな小さなことも、みんなの意見がすり合うところまで話し合う。これは、結局は誰も責任を取らない、誰も主体的に動かないということになりかねません。

人が集まる場を企画するときに大事なのは、ある種の独裁的な決断です。コンセプトを決めるにしても、やらないことを決めるにしても、捨てるものは捨てる。全方面にいい顔はできません。クリエーティブな現場で行われているのと同様に、どこかで独裁的になることが必要です。

もう1つは、「時間に厳格」であることです。常にオンタイムの運営をするということ。実際にG1サミットでは、私の記憶にある限り、どのセッションも5分以上時間がずれたことは一度もありませんでした。これは、堀さんが徹底していたルールで、どんなに高名なスピーカーがどんなにいい話をしていても、所定の時間が来たらそこで終わり。

現場にとってはかなりタフなルールではありましたが、1人がたった5分を延長することで、ほかの数百人の行動時間に影響を与えてしまう。それを考えると絶対的に正しい判断だったと思います。

土曜日の夜だけ営業するスタンディングバー

よい場づくりのためにはオープンにしすぎないことが大事という話をしましたが、一定のルールを設けて門戸を広げることも場の活性化のためには必要でしょう。

鎌倉のまちの社員食堂は、利用できるのは鎌倉で働く人のみというルールで営業していますが、土曜日の夜だけはどなたでも入店できるスタンディングバーになります。「タイムカード」という名前のとおり、入店の際にタイムカードを打刻して、1時間1000円、ハイボール飲み放題、他のドリンクや食べ物の持ち込みは自由です。

写真提供=株式会社カヤック
毎週いろんな人が集まるまちの社員食堂の「タイムカード」で男女のマッチングをお膳立てする特別企画として行われた「ハートのタイムカード」。

バーの店長は週替わりで、地元の経営者の方など、自薦他薦のマイクロインフルエンサーにお願いしています。これまでで一番盛り上がったのは、地元のベンチャー企業経営者が店長のときでした。この方は、とにかくサービス精神が旺盛で、「来た人を絶対に楽しませる」ということに徹していました。一時間ごとに楽器演奏などの盛り上げるための仕掛けをつくって、お客さんを帰らせないんです。売り上げも最高レベルとなり、まさに「神会」でした。

「まちの社員食堂」では、通常営業とタイムカードのほかに、トークセッションなども時折開催しています。今後もさまざまな企画を考えて発信していきたいと思っています。

(構成=白鳥美子)
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