吉本興業所属の複数のタレントが、事務所を通さず反社会的勢力の仕事を引き受けていたことがわかり大騒動になっている。契約解除や謹慎というタレントへの処分は適切なのか。橋下徹氏が問題点を指摘する。プレジデント社の公式メールマガジン「橋下徹の『問題解決の授業』」(7月2日配信)から抜粋記事をお届けします。

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この程度の嘘で、この「処分」は罪と罰のバランスが悪すぎる

※画像はイメージです。(画像=iStock.com/R-DESIGN)

雨上がり決死隊の宮迫博之さん、ロンドンブーツ1号2号の田村亮さんら吉本興業所属のタレントが、反社会的勢力の振り込め詐欺グループから事務所を通さずに仕事を請け負い、ギャラを受け取っていたという問題がこのほど発覚した。仕事を仲介したとされるカラテカの入江慎也さんは吉本との契約を解除され、宮迫さんや亮さんは謹慎処分を受け、テレビ番組への出演を禁じられる事態になった。

吉本興業には、大阪府政・市政で協力してもらっていたし、宮迫さんとも何度も仕事をしたことがある。そういう状況にある僕が、できる限り中立・公平に、法律家の視点で、今回の問題点を論じてみたい。

まず宮迫さんや、ロンブーの亮さんが、お金を受け取っていたのに、受け取っていなかったと嘘を言っていたことは批判されても仕方がない。

しかし、この程度の嘘で、仕事が全て奪われるようなことになるのはおかしいと思う。あまりにも罪と罰のバランスが悪過ぎる。

もちろん、テレビ番組のスポンサー企業は、イメージを一番重要視する。だから自分たちの企業イメージにふさわしくないタレントの出演を拒む権利がある。これは単なる出演者の交代だ。だから宮迫さんや亮さんが番組を降板させられるなら仕方がない。しかし、スポンサー企業の意向を気にしなくてもいい仕事をすることには何ら問題ないし、テレビ番組の仕事を失った宮迫さんや亮さんに対して、吉本興業は積極的にサポートすべきだと思う。

まず宮迫さんたちが、参加した問題の忘年会の主催者たちが反社会的勢力であることを知りながら、会に参加したのであれば、言い訳の余地はない。これは完全にアウトで、仕事を全て失っても仕方がない。反社会的勢力と知りながらお金を受け取り、受け取っていないと嘘を付いたのであれば言語道断である。

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しかし、反社会的勢力と知らない中で、お金を受け取ってしまうことは、軽率だったという批判はあるにせよ、仕事を全て奪われる話ではないと思う。ある意味、返還すれば済む話である。政治家も犯罪者から政治献金を受け取ったことが問題となる場合がある。そのときも、犯罪者だと知らなかった場合には、批判はされるが、返金して済んでしまう。

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