しかし芸能事務所の役割は大きい

吉本興業のタレントは、番組でも自分の事務所の悪口をネタにして笑いを取る。それが、一種の定番ネタになっている。

各タレントは、吉本興業に言いたいことは色々あるのであろう。他方、各タレントは吉本興業のおかげで仕事ができて収入を得ていることも分かっている。特に、テレビなどで活躍し高収入を得ているタレントほど、そのことをよく分かっている。

吉本興業も、自分たちの力があるから、タレントは収入を得ているという自負もあるだろう。

いずれにせよ、事務所とタレントの間に、「取り分」を巡ってぶつかり合いが生じるのは当たり前のことだ。

そんなことよりも、今回の件では、タレント側が気付いていない事務所の大きな役割が明らかになったと思う。コンプライアンスなどが特に強調される現代社会において、関わってはいけない仕事というものが物凄く増えてきた。ちょっとしたグレーの部分も社会は許さず、それに関わったタレントは仕事を失う。そしてそのような仕事は、問題のないクリアな仕事との区別が付きにくくなっている。

一見普通の仕事が、詐欺まがいの仕事だったり、反社会的勢力の仕事だったり。そもそも反社会的勢力かどうかの区別も付きにくい。昔の「ヤクザ」というスタイルをとってもらった方が区別が付きやすかったが、現在は暴力団対策基本法や、暴力団排除条例のおかげで、そのようなスタイルが姿を消しつつあり、その分、区別が付きにくくなってしまった。

こういう状況の中でタレントを守るのが「事務所」である。

タレントが事務所を通して仕事を受けたのであれば、それが関わってはいけなかった仕事であったとしても、批判を浴びるのは事務所である。タレントは事務所に責任を転嫁できる。

各タレントは、事務所の取り分に不平を持つことがあるかもしれないが、いざというときの「保険料」だということも認識しなければならない。