日本滞在中のツイッター更新で、永田町が大騒ぎに
破格の厚遇で4日間におよぶ「令和初の国賓」を満喫したトランプ米大統領。彼が日本滞在中にツイッターでつぶやいたひと言で日本が騒ぎになっている。
懸案の日米貿易交渉について「7月の選挙後まで待つ代わりに大きな進展に期待する」という内容。決着を先送りするのは盟友・安倍晋三首相の希望通りではあるが、交換条件で大幅な譲歩を強いられるのであれば、国民がつけを払わされることになる。こんなディール(取引)があってもいいのだろうか。
問題のツイートは日本時間26日の午後、つぶやかれた。安倍氏と千葉県茂原市の「茂原カントリー倶楽部」でゴルフを楽しみ、クラブハウスでダブル・チーズバーガーをほおばった後のツイートだ。「両国国技館で大相撲を観戦する前」と説明した方が分かりやすいかもしれない。
Great progress being made in our Trade Negotiations with Japan. Agriculture and beef heavily in play. Much will wait until after their July elections where I anticipate big numbers!
— Donald J. Trump (@realDonaldTrump) 2019年5月26日
要約すると「日本との交渉では、すばらしい進展がある。農業、牛肉は特にそうだ。7月の日本の選挙まで待つが、大きな数字を期待する」という内容だ。
トランプ氏は27日、安倍氏との首脳会談冒頭、記者団に「8月に、いい内容を発表できる」と発言。前日のツイートを補強している。
日米首脳の「密約」が本当にあったことを証明
このツイートには伏線がある。1カ月前の4月26日、2人はホワイトハウスで会談した。その時、トランプ氏は、5月の訪日時を念頭に「日本にいる時までに(日米交渉の)合意ができるかもしれない」と記者団に語っている。少しでも交渉を先延ばししたいと思っていた日本政府にとっては、寝耳に水だった。
一部報道によると安倍氏は記者団が去った後、「日本では7月に選挙がある。それまで待ってほしい」「2020年の大統領選前には形にするから安心してほしい」とトランプ氏に頼みこんだ。そしてトランプ氏も安倍氏に理解を示したという。つまり、日本の参院選が終わってから米大統領選が本格化するまでの間に妥結することで「密約」ができたというのだ。
日本政府サイドは、安倍氏がそのような発言をしたかどうかについては明言を避けている。しかし、今回のトランプ氏のツイートは、図らずも日米首脳の「密約」が本当にあったことを証明するような内容だった。