絵に描いたような「やっつけ仕事」でつくった公約

自民党は夏の参院選に向けて6月7日、選挙公約を発表した。絵に描いたような「やっつけ仕事」でつくったとしか言いようがない内容だ。目玉といえる政策は、ほとんどなく、具体性も乏しい。現段階では有利な選挙戦が予想される中、安全運転を心掛けてのことなのだろう。

しかし、そんな公約の中に選挙戦での火種となる記述がある。今後の選挙戦で野党の追及を受けて守勢に回ることになりかねない。

参議院選挙公約を掲げる自民党の岸田文雄政調会長=6月7日、東京・永田町の同党本部(写真=時事通信フォト)

2年前の衆院選公約の「コピペ」といえる内容

手元にある自民党の参院選公約では、スーツ姿の安倍晋三首相がほほ笑む写真に「日本の明日を切り拓く。」と記されている。2年前、2017年の衆院選の時の公約「この国を守り抜く。」とデザインはそっくりだ。

1枚めくると安倍氏が4月1日に新元号「令和」について説明している時の写真とともに「自民党総裁」の肩書で安倍氏のメッセージが書かれている。これも、国連での演説と思われる安倍氏の写真とメッセージが書かれている2年前の公約とよく似ている。

さらにページを進めていっても17年公約と酷似している。自民党の公約は主要項目をまとめた「本編」と、詳細な政策を羅列した「政策バンク」の2層構造になっており、今回もそれを踏襲している。

今回の「本編」は18ページで前回と同じ。主要政策の数は前回も今回も6つ。両方とも最後の6番目に「憲法改正」を置いている。ここまでくると「コピペ公約」といわれても仕方ない。