21枚のうち20枚に安倍氏が写る「首相依存」

掲載写真も安倍氏の活躍を前面に出すコンセプトは同じ。17年公約では表紙を含めて20枚の写真のうち10枚に安倍氏が写っていた。一方、今回の公約は21枚のうち20枚に安倍氏が写る。2年間のうちに自民党は「安倍氏依存」がさらに進んでいるということだろうか。

こんな公約にも、火種は潜んでいる。先ほど紹介したように自民党の公約は「本編」と「政策バンク」に分かれているが、火種は注目度の低い「政策バンク」の冒頭「外交・安全保障」の項目にある。

北朝鮮政策について「政策バンク」では「制裁措置の厳格な実施とさらなる制裁の検討を行うなど国際社会と結束して圧力を最大限に高め……」とある。

北朝鮮に対し「追加制裁の検討」というズレた表記

安倍氏は現在、北朝鮮による日本人拉致問題を打開するため「前提条件なし」で金正恩朝鮮労働党委員長との日朝首脳会談の実現を目指すことを表明している。その方針と「追加制裁の検討」という表記は明らかにずれている。

もう一つ。「政策バンク」の中では北方領土については「わが国固有の領土」と明記している。

安倍政権は北方領土交渉を前進させるため、ロシアを必要以上に刺激しないよう神経をつかっており「わが国固有の領土」という表現も使わないようにしている。ところが公約の方には明記されている。ここでも政府と与党の足並みはそろっていない。

なぜこのようなことが起きたのか。