政治家・小泉氏の商品価値にも傷がついてしまった
時代は平成から令和に移ったが、「次の首相」候補で常に1位を争うスター議員の小泉進次郎衆院議員は、忸怩たる思いで新しい時代を迎えたことだろう。自らが旗振り役となって進める国会改革が、ほぼ一歩も前に進まなかったからだ。
比較的合意が簡単な項目だけ集めて「平成のうちに」実現すると大風呂敷を広げていただけに、政治家・小泉氏の商品価値にも傷がついてしまった。なぜそうした想定外の事態に陥ったのだろうか。
「平成のうち」に実現可能な項目を選んだけれど
「次の令和の時代は間違いなく国会改革が進んだと言われる時代にしなければならない。令和の時代を平成以上に、良い時代にしなければならない」
4月26日、小泉氏は記者団の質問に答える形で、国会改革が進まなかったことへのコメントを語った。
小泉氏らが中心になって超党派の100人超で発足した「『平成のうちに』衆議院改革実現会議」は昨年、大島理森衆院議長らに国会改革の提言を行っている。
提言は以下の3つである。
(2)衆議院におけるタブレット端末の導入・活用など、IT化を推進し、国会審議の効率化・意思決定プロセスの透明性向上を図るべき
(3)女性議員が妊娠・出産時等により表決に加わることができない場合に、代理投票を認めるなど必要な対応を速やかに実施すべき
小泉氏は国会改革をライフワークとして取り組んでいる。例えば政治スキャンダルが起きた時、集中的に取り扱う常設の特別調査会を設置すべきだと主張している。しかし、提言には、特別調査会は入っていない。
特別調査会を設置すると、森友・加計問題などは、そちらで集中的に取り扱う。審議時間を十分確保できる点では野党側にメリットがある。その一方で、予算委員会や常任委員会ではスキャンダルは取り扱わなくなるので予算案や法案の審議はスムーズに進み、その点では与党に有利になる。野党は予算案や法案を「人質」にして国会運営をする戦術が取れなくなるのだ。このように特別調査会の設置は、与野党の利害がからんで協議は難航することが予想される。
「平成のうちに」は、その名の通り平成のうちに実現させるため、与野党で合意が難しい「特別調査会」などは外し、合意が比較的簡単とみられる項目だけ集めたのだ。