世界中のPCでも解けない「鍵暗号」とは
暗号は大事なモノや情報を相手に届けるため、さまざまな場所で使われている。その暗号には大別して2種類あって、その1つが公開鍵暗号で、もう1つが「共通鍵暗号(秘密鍵暗号)」と呼ばれるものだ。
後者の共通鍵暗号は最も古典的な暗号で、「シーザー(カエサル)暗号」ともいわれる。たとえば、「イノシシ」という単語を暗号化するとき、「あいうえお順で3文字ずらす」ことをルール(鍵)にし、「オフソソ」と相手に伝える。
これでは意味不明だが、3文字ずらすという共通の鍵を使って、元の「イノシシ」に戻すことができる。共通鍵暗号はこのようにシンプルな仕組みで使い勝手がよい半面、見破られやすいというデメリットがある。3文字、5文字……とずらしながら試していくうちに、そう時間を要せずにバレてしまう可能性が高いのだ。
この共通鍵暗号の課題を克服したのが、もう1つの公開鍵暗号なのだ。これは2つの鍵を使ったものなのだが、その説明に入る前に、次のクイズで頭をほぐそう。
「AがBに大切な荷物を送りたいと考えている。しかし、2人の住む地域は非常に治安が悪く、配送業者でさえ中身を盗むことがある。そこで確実に荷物を届けたいAは、どう送ればいいか」
答えは以下。「Aが箱に錠をかけてBに送る。配達員は鍵がなく箱を開けられず、Bに箱が無事届く。Bも鍵を持っておらず開けられないが、Bは別の錠を新たにかけてAに箱を送り返す。Aは自分がかけた錠を外し、再びBに送る。そしてBは自分がかけた錠を外して中身を取り出す」(図参照)。こうすると手間はかかるが、確実に中身を受け取れる。