安倍政権を支える闇集団を描いた92%の現実

総理を支配する闇の集団を描いたリアル告発ノベル『官邸ポリス』が霞が関界隈で話題だ。ストーリーは「どこまでが本当なのだろう」と引き込まれる。

政権中枢に派遣された警察庁出身者からなる「官邸ポリス」の準備組織「エイワン」。主メンバーの官房副長官・瀬戸弘和は東日本大震災の対応で混乱する民政党政権を見て、暗澹(あんたん)たる気持ちに駆られる。

瀬戸らは「合法的な手段を駆使して、政権を支えて日本を導く。唯一無二の存在になる」という思いを抱き、エイワンメンバーを率いて情報収集し、指示を出す。

総理宣伝本の出版を計画していた、東日本テレビ山本巧基記者の強姦容疑をめぐっては逮捕状の執行取り消しに動く。文科省の総括審議官前田裕兵の「恋活バー」通いを尾行して新聞にリークしたり、総理の名前のついた小学校を建てようとした幼稚園理事長門池康正夫妻を逮捕するよう指示したり。

第二次安倍政権下で実際に起きた疑惑を下敷きに、モデルとなった人たちをからめたストーリーが次々と展開する。帯のコピー「92%の現実」、つまり残り「8%のフィクション」のさじ加減が絶妙だ。