自民党総裁選は、安倍晋三首相が3選を果たした。得票数は安倍氏が553票。挑戦者・石破茂元幹事長が254票。石破氏は報道各社の見立てよりは健闘したが、しょせんは想定の範囲内。世間の関心も高くなかった。むしろ、この日1番注目されたのは、小泉進次郎筆頭副幹事長が石破氏支持を明言したことだったのかもしれない。これまでは沈黙を貫いてきた小泉氏。負けることが決まっている石破氏に、最後の最後で肩入れすることにしたのはなぜなのか――。
自民党総裁選を終え、記者団の質問に答える小泉進次郎氏(中央)(写真=時事通信フォト)

「とりあえずビール」を嫌うあまのじゃく

小泉氏が石破氏支持を明言したのは投開票が行われる直前の20日昼。党本部で記者団から「石破氏支持か」と問われると「その通り」と、あっさり認めた。

総裁選が終わった後の記者団対応は、総裁選の勝者・安倍氏よりもマスコミの熱視線を集めた。

「日本のこれからの発展は人と同じではだめ。人と違うことを強みに変えられることが大事。自民党も違う意見を押さえ付けるのではなく、違う声を強みに変えていくかなければならない。そういう思いから、私なりに判断した」

小泉氏は石破氏の支持を決めた理由をこう語った。歯切れよい発言が売りの小泉氏にしては、少々まどろっこしい語りだが、要は「安倍1強」ではなく多様な政党であることを証明するために石破氏についたということのようだ。

予定調和が嫌いで、宴席でも皆が「取りあえずビール」という中、あえて「僕はハイボール」という小泉氏らしい発想ではある。

小泉氏は石破氏を支持することは「私の中では決まっていたが、タイミングを考えた」と語っている。小泉氏は2012年の総裁選でも石破氏に投票した。今回も石破氏に投票しても、何ら不思議はない。しかし、まだ勝敗の行方が分からない選挙の序盤ではなく、石破氏の負けが事実上確定した20日に、表明したことは非常に分かりにくい。