衆院選は与党の圧勝に終わり、高市政権の継続が決まったが、財政政策や経済政策は今後どうなるのか。経済財政諮問会議の民間議員を務める第一生命経済研究所首席エコノミスト・永濱利廣さんの解説をお届けする――。
閣議に臨む高市早苗首相=2026年2月13日、首相官邸
写真=時事通信フォト
閣議に臨む高市早苗首相=2026年2月13日、首相官邸

財政拡大が景気を下支えする

2026年2月8日に行われた衆院選が与党の勝利に終わったことで、高市首相の続投が確実となった。今後発足する第2次高市政権は、成長・危機管理投資や減税を含む「責任ある積極財政」を本格化させるであろう。

「サナエノミクス」による積極財政は景気をけん引する一方、賃金上昇に支えられた緩やかな物価上昇をもたらす。それによって、良い金利上昇の要因にもなる。

高市政権の続投がきまったことで、市場は「財政規律と成長」のバランスがどうなるかを注視しているだろう。そのため、「サナエノミクス」の喫緊の課題として、株価や円相場の安定が不可欠だろう。

積極財政にともない、日銀による金融政策の正常化が進むことが予想さていれる。日銀は賃金と物価の好循環を確認し、政策金利を中立金利とされる1%以上に段階的に引き上げることが市場のコンセンサスとなっている。

極端な円安は望んでいない可能性

日本においては、今後は行き過ぎた円安修正と金利正常化の足音が高まることになろう。

のちに触れるように、米国が緩やかな利下げに向かっていく一方、日本では高市政権下で「責任ある積極財政」が実施される。その結果、緩やかなインフレ率の低下が実質賃金水準を押し上げていく「物価・賃金の好循環」が生まれつつある。

一方、そうした緩やかな物価上昇を背景に、日銀は徐々に金利を引き上げていくと市場は見ている。最終的には中立水準とされる1%以上に引き上げることが市場コンセンサスとなっている。

そうなれば、日米の実質金利差が縮小に向かうため、今度こそインフレにより長らく続いた円安圧力が修正され、輸出企業の収益や輸入物価の落ち着きに影響を与える可能性がある。

2026年も1ドル=140~150円台を中心としたレンジでドル円が推移すると見られる。

そうなれば、長らく続いた「物価高に賃金が追いつかない」状況は解消に向かい、今後の日本経済は内需主導の緩やかな回復へと転換していくであろう。

2026年はその節目の年となる見通しだ。