リスクは「インフレ再燃」
2026年のリスクシナリオとしては、「インフレ再燃」と「悪い円安の進行」があげられるだろう。
こちらは、日本国内の状況よりも、トランプ政権の関税政策や移民抑制に左右される部分が大きいかもしれない。
特に米国経済が「ノーランディング」、すなわちインフレの抑制に失敗した場合、物価が再び上昇し、FRBは利下げ停止や再利上げを迫られることになる。
その場合、米長期金利は5%を突破し、ドル円は再び160円を超える円安に振れるリスクがあるだろう。
また、地政学・財政リスクとして、中東や東アジアの軍事的な緊張、あるいは各国の巨額の財政赤字が嫌気され、金利が急騰する事態にも警戒が必要だろう。
急激なトレンド転換に要注意
2026年には、2025年までの「政治による激動」が落ち着きを見せていくことが期待される。その一方、金利や物価の「新常態」への適応が求められる段階に入っていく。
その際には以下の3点が重要になってくるだろう。
まず、「金利のある世界」が訪れ、資産再配分の動きが活発化するだろう。
日銀の利上げによって、預金金利や債券の金利が上昇したことで、投資先としての魅力が数十年ぶりに復活してきている(図表6)。
金利急騰リスクもある一方で、機関投資家などが資金を債券へシフトさせることで、市場の変動が起きる可能性には注意が必要だ。
「3月の春闘」がカギとなる
一方で米国では、インフレ再燃リスクから今後の利下げは限定的という見方が有力になってきている。
このため、米国においても過去10年の「超低金利」を前提とした投資手法は見直しを迫られ、預貯金・債券・株式の資金バランスの再確認が進むことになるだろう。
日米金利差の縮小により、長年の円安基調が修正される可能性もある。
円高になれば日本人の保有する海外資産の額面が目減りしてしまう。
ただ、個人投資家の場合は、短期的な売買を繰り返すよりも、長期間にわたって「積立投資」を継続することで、為替変動リスクを平準化するのが賢明といえよう。
こうした傾向が本当に起きるかどうかを見極めるには、まずは3月の春闘の動向が重要になってくるであろう。
実質賃金のプラス傾向が定着するかどうかが、日本経済の自律回復の試金石となる。
また、米中間選挙(11月)も外せない。こちらは、トランプ政権の信任投票となり、政策の推進力が左右される。
もし共和党が敗北した場合、トランプ政権に不信任が突き付けられ、政権がレームダック化する可能性もある。
そうなると関税や移民政策にも変化が起きる可能性があるため、注意が必要だろう。
総じて、2026年の日本経済は「サナエノミクス」による積極財政と、悲願であった実質賃金のプラス化が相まって、デフレ完全脱却への最終コーナーを回ることになる。もちろん米国の政策動向という不透明な外部要因はあるが、内需主導の自律的な回復シナリオは着実に現実味を帯びている。長らく続いた「停滞の時代」に終止符を打ち、金利も賃金も適切に上がる「正常な経済」へとソフトランディングできるか――。まさに日本の底力が試される、真の復活に向けた勝負の一年となるだろう。


