「賃金上昇」がGDPを押し上げる

さらに、真っ先に期待される現象として、「経済成長の加速と実質賃金のプラス転換」があげられる。

2026年の日本の実質GDP成長率は1%程度の推移が予想される(図表1)。

【図表1】経済成長率とインフレ率 ~コストプッシュからディマンドプルへ~

最大の注目点は、2026年春闘でも「5%水準」の賃上げが維持され、消費者物価指数の伸びが2%を下回ることで、実質賃金が安定的にプラスとなることである(図表2)。

【図表2】春闘賃上げ率見通し

賃金上昇で家計の購買力が回復すれば、個人消費が景気をけん引する「好循環」が現実味を帯びるだろう。

「トランプ関税」の影響は限定的

思えば、2025年は「政治主導の市場動揺」と「AIによる成長の二極化」に翻弄された一年だった。

2025年の年初に第2次トランプ政権が発足したが、2月にカナダ、メキシコ、中国に追加関税を課す大統領令に署名。2月10日には鉄鋼・アルミニウムの輸入に対して、関税対象を全世界に拡大。

4月2日には米国へのすべての輸入品について一律10%の関税を課すとした。相手国との貿易収支額等に応じて、米国の関税率も引き上げるという内容で、トランプ大統領は「相互関税」と呼んでいる。

これらの「トランプ関税」が発表されたことで、サプライチェーンの混乱が引き起こされ、3月から4月にかけて株式市場等の乱高下が発生した。

ただ、トランプ関税の市場への影響は一時的なものに終わっている。その後は米国における法人減税や規制緩和への期待もあり、S&P500が過去最高値を更新するなど、景気の強さが不確実性を上回る展開となった(図表3)。

【図表3】日米株価指数 ~トランプ関税調整後に上昇~

日本の株価もAIブームや高市政権への期待感から史上初めて5万円台に乗せるなど、歴史的な節目を迎えた。