SNSや口コミサイトの浸透で面接内容が公開され、対策が必須になっている新卒採用。情報がオープン化される中、企業はどのような視点で学生を見ているのか。人気8業界8社の採用責任者を直撃した。

企業がインターンを行う2つの目的

2018年9月、経団連の中西宏明会長が、採用日程の時期などを定めた“就活ルール”の廃止に言及して論議を呼んだ。しかし、採用現場ではとっくにルールは形骸化している。その背景にあるのは超売り手市場による企業の人材獲得競争の激化だ。インターンシップ(以下インターン)を実施する企業が増えているのも、何とかして優秀な学生を採用したいという企業側の焦りの表れといえる。文科省の有識者会議では「インターンで取得した学生情報は採用選考活動に使用できない」としているが、実際には日系企業でもインターンに採用枠を設けているところは多い。

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リクルートキャリアが運営する就職みらい研究所の調査によれば、2017年度にインターンを実施した企業は68.1%、18年卒で参加した学生も55.2%と全体の半数を超えた。

よって学生たちは、就職活動の本選考の前に、まずは企業のインターンに参加するための選考を受けることになる。大学生向け就活サイトを運営するワンキャリアの北野唯我氏によれば、企業側はすでにこの段階で優秀な学生を確保する策を講じているという。

「企業がインターンを行う目的は2つ。1つは、自社に関心を持ってくれる学生の母集団形成と広報・PR。もう1つは、本選考では受けに来てくれない優秀な学生の囲い込みです。たとえば商社やベンチャーでは、『外資コンサルや投資銀行を志望するハイクラスの学生を採用したい』というニーズが高いので、インターンではあえて似た選考を行うことがよくあります。代表的なのがケース面接。選考プロセスを近づけることで、コンサルや投資銀行の志望者にも『面接の練習に受けてみようか』と思ってもらえる。それでインターンに優秀な学生が集まれば、その企業のブランディングになり、上位校の学生たちに自社の魅力づけができるわけです」