航空会社の場合▼あなたらしい写真で自分を説明してください

「安定・高級・グローバル」と、学生が好む要素を兼ね備えた航空業界。就職人気は、全日本空輸(ANA)と日本航空(JAL)の一騎打ちだ。「この2社は圧倒的強者なので、『何万人と応募してくる中で、誰を選ぼうかな』という余裕の姿勢を感じます。その中で内定をもらう学生のタイプは、ひと言で表すなら、誰にも嫌われない”いい子”。多様な文化と関わる機会が多いため、重視されている印象です」と北野氏は解説する。

ただし、ライバルがはっきりしているからこそ、面接では「なぜJALではなく、ANAなのか」といった志望動機を相当深く突っ込まれる。志望動機はかなり細かく詰めておかないと、優秀な学生でも面接で落とされる。要は面接官に対して、いかに真剣に「私はあなたの会社がこんなに好きです」と語れるかが勝負だ。

質問内容には、両社の社風の違いがはっきり表れる。ANAはJALに比べて個性的な人材を求める傾向があり、「自由に新サービスの企画をするなら何をやりたいか」といった自由度の高い質問が目立つが、JALは「入社したらどんなキャリアを実現したいか」という堅実なプランを問われる。また、経営破綻から再生した歴史があるJALは、学生時代に頑張ったことを質問して、苦境や逆境を乗り切る力があるかを見るのも特徴だ。

ANAの面接官はココを見ている!
▼世界に通用する自己表現力はあるか●國分裕之

エントリーシートには「自分を表現する写真を一枚載せてください」とお願いしています。何らかの活動をしている写真を選ぶ方が多いですね。

取締役常務執行役員 人財戦略室長 國分裕之氏

面接では、まずはその写真について掘り下げてお話を聞きます。ほかに、なぜANAを志望しているのか、入社後どんなことをやりたいか、これまでの経験で自信のあることは何か、といったことを質問しています。自分の経験をこの先にどう繋げていきたいか、どう成長していきたいか、といったことを話してもらえたらと考えています。

多様性の中で輝くあなたの個性とは?

エントリーシートの写真をはじめ、すべての質問には共通して「あなたらしさとは何か教えてください」という意図があります。学生の皆さんが、自分の言葉で自分をしっかり表現できる人なのかどうかを知りたいということです。その自己表現力が、入社後に必須となる様々な人との「コミュニケーション」に生きると考えています。

航空会社はグローバルでの競争に勝ち抜かなくてはなりません。その意味でも、コミュニケーションは特に重要です。日本人は自己表現が不得意と言われますが、自分自身を表現できて初めて他人と理解し合えるものです。その点は、当社が掲げるグローバル人財像の「世界とたたかい、よく知られ、愛される」にも表現されているのです。

また、人財の多様性は非常に大切だと考えており、採用でも個性と同様に重視しています。例えば、地域に偏りがないように全国の大学出身者をできるだけ採用しようとしています。また、外国籍の方や留学経験者、海外の大学を卒業している方、トップアスリートをはじめ体育会系出身者も採用しており、今後は芸術系に能力を発揮した方も採用できたらと思っています。

こうした多様性の確保の背景には、大きな変化に対応できるような発想力が重要という考えがあります。そのためには、仕事を頑張るだけでなく、プライベートも充実させ、そこでも様々な体験をすることが必須になってきます。そこで、例えば運動をやっている方には、入社後には運動以外の趣味にも新しくチャレンジするなど、自分の中での多様性づくりにも取り組んでほしいと考えています。