外資系コンサルの場合▼ドラえもんの道具で儲けるには?
難関大学の学生を対象とした就職人気ランキングで、ここ数年上位を占めるコンサル業界。マッキンゼー・アンド・カンパニーやBCGなどの戦略コンサルが最上位だが、アクセンチュアやデロイト トーマツ コンサルティング、PwCコンサルティングなどの総合コンサルも人気が高い。「外資系戦略コンサルではケース面接が定番で、地頭のよさや論理的思考力だけが重視されると思いがちですが、それは誤解。基礎的な学力や思考力があるのは前提ですが、そのうえでクライアントから可愛がられる人間性や高い成長意欲があるかを見られる。インターンシップが本選考を兼ねる場合が多いので、先輩から厳しい指導を受けてもそれを素直に聞き入れ、改善することができる学生は高く評価されます」
これまでコンサル業界の面接では、志望動機を聞かれることは少なかった。「コンサルタントはプロであり、目標を達成できるスキルや能力があれば、志望動機は関係ない」と考えられてきたためだ。「しかし最近は業界の採用数が拡大し、人材確保の必要が生じたため、今後は他業界と同様に志望動機を重視する可能性は十分ある。最近になってマッキンゼーが英語の筆記試験をやめて日本語に切り替えたのも、選考を通過する人数を増やすため。面接でも、業界ならではの特殊性は徐々に薄れていくと予想されます」
BCGの面接官はココを見ている!
▼論理的思考、地頭のよさ、クリエーティビティ●荻原英吾
新卒採用の場合、採用までに3~4回の選考ステップがあります。その1つとして「ケース面接」を行っています。答えが簡単に出せない質問に対して、仮説を立てながら回答を論理的に導き出してもらうというものです。時間としては30分~1時間程度でしょうか。
ケース面接での質問内容はたとえば、「ドラえもんの道具を1つ使ってマネタイズするなら、どんなことが考えられるか」といった問いを投げます。これに数字とロジックを組み合わせて答えを導き出してもらいます。
ケース面接で、当社では主に3つのポイントを見ています。物事を論理的に考える「ロジカルシンキング」、議論に付いていくスピードを見る「地頭のよさ」、既存のものを組み合わせて新しいアイデアをつくる「クリエーティビティ」です。
BCGで結果が出る第4のポイント
戦略コンサルティングの仕事は、かつては経営経験をもとにクライアントに価値を提供する仕事でした。業界として大きくなった理由は、業務経験の少ない新卒コンサルタントでもクライアントへのコンサルティングを可能にするメソドロジー(方法論)を発展させたことにあります。したがって面接では、このメソドロジーを身に付けるために必要な先の3つの能力があるかを重点的に見ています。
さらに当社では、面接の評価において先の3つに加え、その人の「チャーム」、独自の魅力を重視しています。戦略を構築しても、クライアントがそれを実行して結果を出さないと意味はありません。戦略の実行に向けてクライアントに納得してもらい、動いてもらえるパーソナリティや経験があれば、それは強みになります。また、AIなど最新のデジタル技術に精通していたり、医大を卒業して医療分野の専門知識を持っている、英語がネーティブ並みに話せる、といったことも評価しています。
何千人もの学生の方に受けていただく中から、採用できる人数は限られています。採用には多くのコストもかかる。学生の方の強みや魅力に気づかず安易に切ってしまうと、その機会損失は大きなものになります。そうしたことがないよう、できるだけその方の強みや魅力を面接で引き出せるよう努力しています。