大手金融の場合▼学生時代、どんな失敗をしましたか?

金融には銀行・証券・保険などの業種があるが、共通点はインターン経由の早期選考を行うことと、懇親会などの名目で呼び出されて行われるリクルーター面談を重視すること。「リクルーター面談は、カフェなどのカジュアルな場で行われることが多いため、本選考とは別ものと誤解しやすい。『三菱UFJ銀行では、9回もリクルーター面談があった』という学生もいるほど、力を入れる会社が多い」と北野氏は説く。

インターンやリクルーター面談を重視する理由は2つ。1つめは、金融の仕事は事業内容や商品で同業他社と差別化が難しいため、社員と学生の接触を増やして「この人たちと働きたい」と思わせる必要があること。もう1つは、人で勝負するしかない金融業界では、「誰からも嫌われない」という学生が求められること。北野氏は「9人のリクルーターが面談して、全員が『いいんじゃない』と思えば、万人受けする人材の証明になる。面談で聞かれるのは、学生時代の体験などごく一般的な質問がほとんどです」と解説する。

面接の質問としては、お金の価値観を見る「100万円の使い道は何にするか」(日本生命保険)などの質問もあるので日頃から準備が必要だ。なお、金融業界は最終面接で「うちに来てくれるなら内定を出す」と言われ、その場で答えなければいけない。

東京海上日動の面接官はココを見ている!
▼ありのままの自分を説明できるか●北澤健一

当社の面接では、志望動機や入社後にやりたいことは重視していません。面接のほとんどを「その人自身を知る」ことに使っています。学生が考える志望動機は、あらかじめ面接用に作り込まれたものが多く、「その人らしさ」が見えてきません。そのため、当社では学生時代の経験を通じて、ありのままの姿を知ることを大切にしています。そして、面接で見えてきた「その人らしさ」が、社会に出てどう生かされ、成長し活躍できるのかを知りたいと思っています。

理事・人事企画部長 北澤健一氏

面接では、学生時代に何をしてきたかを中心にお聞きします。何のためにそれに取り組み、どんな課題があり、どのように克服してきたか。これは「現状の課題を分析し、対策を考え、実行する」という経験をしてきたかを知るためです。この経験がある人は、ビジネスシーンでもそれを再現できる可能性が極めて高いと考えています。

失敗談でもOK 事前準備は不要

学生時代の経験については、失敗談でもよいと考えています。運動や勉強、アルバイト、ボランティアなど何でもよいので、そこでの課題にどう対応したか、失敗した場合には、そこから何を学んだかを話してください。

失敗談でもいいとお話ししたのは、当社を取り巻く事業環境も関係しています。人口動態等の社会構造の変化、近年の自然災害の多発と予測困難性、テクノロジーの進展は、損害保険業界の事業環境に大きな変化をもたらしています。こうした状況に適切に対応していくためには、これまでに挑戦したことのない領域であっても、失敗を恐れず飛び込むことが必要になってきます。今後の変化が予測できない状況にある中で、100%成功する施策だけを選んで実行することなど到底できません。失敗を恐れずに取り組む実行力を学生にも求めています。

そういった点も含めて、面接ではその方の生き方や判断軸を丸裸にするくらいまで徹底的に対話することになります。事前に準備してきたことを話されているなと感じたら、我々としてはあえて、それでは対応できない質問をします。志望動機も質問しませんので、面接に際して何か準備していただく必要はありません。ありのままで面接に臨んでいただけたらと思います。