「時間」という資産は、誰にとっても有限だ。ところが、その使い方は人によって驚くほど違う。いつも時間が足りない人と、仕事が終わる人の違いはどこにあるのか。「プレジデント」(2017年3月6日号)より識者の助言を紹介しよう。今回は「日経新聞の読み方」について――。

「今週の予定」と「今週の市場」を読みこなす方法

日本経済新聞で最も重要なのは、月曜日の朝刊である。なぜなら、「予定面」があり、「今週の予定」と「今週の市場」が載っているからだ。

前者は「政治・外交」「経済・企業」「決算」などの区分で、各日の主なイベントをまとめている。なかでも特に重要なイベントは太字になっている。

後者はこうした予定を踏まえて、株式、為替、金利の3項目に分けて市場の動きを予測するものだ。特に大きなトピックについては、署名コラムの「羅針盤」で記者が解説している。

重要なのは予測や解説の内容ではない。「予定面」の情報をもとに、「今週の市場はどう動くか」という仮説を、自分なりに立ててみることだ。火曜日以降は、その仮説を検証しながら紙面を読み進めていく。注目企業の決算はどうだったか。それに対し市場はどう反応したのか。これを続ければ、自分なりの判断基準ができるので、情報に振り回されずに済む。

私は自宅からオフィスまでの電車通勤にかかる22分間で朝刊を読み切る。これは電子版では難しい。紙面だと、読みたい情報のある場所がすぐ探せる。ニュースの大小も把握しやすい。ただ外出先では電子版が便利だ。速報性と検索性に優れていて、スマホがあればすぐ読める。

日経新聞の記事は、ビジネスの基礎情報なので無視するわけにはいかない。自分なりに楽しく読む方法を身につけたい。

▼最重要は月曜日。「予定面」を熟読し仮説を立てる

小宮一慶
小宮コンサルタンツ代表
1957年生まれ。京都大学法学部卒業、東京銀行入行。米国ダートマス大学タック経営大学院でMBA取得。96年に独立。
 
(構成=山田清機)
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