転職市場に変化、シニアの争奪戦が始まる!

安倍晋三首相が「70歳までの就業機会を確保する」と表明するなど、政府はシニア世代の雇用制度改革を進めている。内閣府の調査によると65~69歳の高齢者の65.4%は「仕事をしたい」と感じているが、総務省の労働力調査によると、実際にこの年齢層で就業している人の割合は44.3%。シニアの就労はいまだ厳しいのが現実だ。

リクルートジョブズの調査研究機関であるジョブズリサーチセンターの宇佐川邦子センター長は変化の兆しもあると指摘する。

「シニア人材といえば清掃や警備などが中心でしたが、最近は飲食や小売りなどで積極的な採用が見られるようになってきました。早朝や深夜の時間帯に働いてくれるバイトがおらず、人手不足が深刻化し、シニアに目を向け始めたのです」

また、今後シニア人口がさらに増加するということは、消費の中心もそちらに移るということ。

「シニアのニーズや商品開発には、シニア世代の意見が不可欠です。販売の現場などでも、シニアが売ったほうが安心して買ってもらえる場面もあります。長期的には『健康で優秀なシニア』の争奪戦が始まると見ています」(宇佐川氏)。

早くシニア採用を始めた企業が勝ち組となれるかもしれない。

(図版作成=大橋昭一)
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