無能な管理職が「暇な社員」をつくり出す

無能な管理職が「暇な社員」をつくり出す

典型例を挙げよう。ある企業が監視ソフトを導入したときのこと。ある女性社員が、会社の仕事は短時間で済ませてしまい、残りの時間は自分で立ち上げたオークションサイトを1日中運営していたことが判明した。それまでなぜ、誰も気づかなかったのかといえば、彼女は「女性社員ではナンバーワン」と言われるほど優秀な人物で、仕事ぶりが完璧だったからである。

そこで、経営者が本人を呼び出して理由を問いただしたところ、彼女は泣きながら答えた。

「仕事がないんです」。

実は、彼女は仕事が早く終わってしまうので、「もっと仕事を与えてください」と上司に訴えたことが今までに何度もあったという。上司が彼女の優秀さに見合った適正な仕事量を与えていなかったのだ。ちなみに、件の女性が立ち上げていたオークションサイトのシステムのレベルは相当高かったようだ。このように優秀な社員が、女性だからといった理由で十分に仕事を与えられず、時間を持て余してPCの私的利用を行っているケースも多いのである。

「IT化によって、今まで100人で行っていた作業が数人で済むようになった。だが、『管理職の評価は部下の人数』という考えをいまだに持っている人がいる。多くの部下を置きたがるのに、彼らに十分な仕事を回さない。それが非効率の元凶だ」と酒巻氏は断言する。

PCの私的利用は、これを一律に禁止すれば済むというような単純なものではない。息抜きが業務効率を高めるという調査結果もある。私的利用も含め、部下を管理する能力が、管理職に問われているのだ。

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