金額決定はサポーターと依頼者の交渉

角田氏は、こうした生活スキルのマッチングに事業機会を見いだし、2013年にエニタイムズを立ちあげた。利用にあたっては。まずはユーザー登録が必要となる。その後は誰もが、仕事をする側(サポーター)、発注する側(依頼者)のどちらの側にもなることができる。登録は個人でも法人でもできる。

まず会員がサービスの内容と価格を提示する(写真提供・エニタイムズ)

エニタイムズには「みんなのリクエスト」というページがある。そこには依頼者が書いた「引っ越しを手伝ってください 5000円」「懇親会の料理をつくってほしい 7500円」といったリクエスト(仕事の依頼)が並んでいる。サポーターはこれらのリクエストを、仕事や地域のカテゴリを絞り込んだりしながら閲覧し、やってみたい仕事が見つかると、その依頼者とコンタクトを取り、金額などの条件の交渉を行う。この交渉の結果、依頼者とサポーターの双方が合意すると、成約となる。

あるいは「みんなのサービス」というページもある。こちらにはサポーターが書き込んだ「エアコンクリーニング 1万円」「買い物代行します 3000円」といったサービス・メニューが並んでいる。依頼者はこれらのメニューを絞り込みながら閲覧し、頼みたいメニューに出会うと、そのサポーターとコンタクトを取り、金額などの条件の交渉を行う。この交渉の結果、サポーターと依頼者の双方が合意すると、成約となる。

エニタイムズではサービスの料金は、サポーターと依頼者がその都度交渉して決定する。現在は1時間2000円くらいでの成約が多いという。依頼者は事前にエニタイムズに料金を支払い、サポーターは仕事を実施した後に15%の使用料を差し引いた金額をエニタイムズから受け取る。支払いをめぐるトラブルの防止にもつながる決済システムである。

さらにエニタイムズでは、登録時に運転免許証などで本人確認を行っているほか、利用後にサポーターと依頼者が相互の評価を開示するなど、安心して利用できる仕組みを整えている。

想定外の利用者が6割~7割を占める

ユーザーの増加が続くエニタイムズだが、事業を立ち上げていく過程では、いくつもの見込み違いもあった。そのひとつにメインユーザーの性別がある。エニタイムでシェアされるのは、家庭の用事である。そのメインユーザーは女性だと思われがちである。しかし、蓋を開けてみるとユーザーの多くは男性で、現在は利用者の6割が男性だという。

今の日本では、家庭のあり方、男女の役割分担についての見直しが進んでいる。しかしそのなかにあっても、女性には、家事を他人に代行してもらうことへの心理的な抵抗感が強いといわれる。ところが男性には、こうした恥ずかしさがない。そのためにエニタイムズの利用は男性から広がっていったと見られる。