がん患者に対して「いいかげんにしろ」とやじ
また安倍政権が馬脚を現した。
やじを飛ばして厳重注意を受けた自民党の穴見陽一・衆院議員のことである。穴見氏は、受動喫煙対策強化を目指す健康増進法改正案を審議中の6月15日の衆院厚労委員会で、参考人のがん患者が意見を述べているときに「いいかげんにしろ」とやじを飛ばした。
考えられない行為である。言語道断だ。善悪の判断がつかないのだろうか。穴見氏は当選3回の国会議員である。がん患者のことをどう思っているのだろうか。
やじを浴びせられたのは、受動喫煙が原因でがんに罹患した可能性のある患者で、日本肺がん患者連絡会の代表だった。屋外の喫煙場所の在り方について話した直後にやじを浴びた。
彼は「招かれて行った場でやじを浴びせられ、悲しく残念な気持ちになった。命に関わる問題を議論する場なのに議員としての資質が問われる」と話しているという。その気持ちは実によく分かる。
受動喫煙対策に絡んでは昨年5月の自民党会合で、大西英男衆院議員が「がん患者は働かなくていい」とのやじを飛ばし、自民党東京都連副会長を辞任している。
「不快な思いを与えたとすれば、おわびする」
穴見氏はファミリーレストラン「ジョイフル」の代表取締役・相談役だ。選出の地元、大分県では大分がん研究振興財団理事まで務めているというから驚いてしまう。
受動喫煙対策強化の健康増進法改正案では、客席の面積が100平方メートル以下の既存の飲食店では喫煙を例外的に認めたが、ジョイフルのような大手は面積にかかわらず禁煙となる。これに穴見氏は抗議したかったのだろうか。そのあたりは定かではないが、穴見氏は次のようなコメントを出している。
「不快な思いを与えたとすれば、心からの反省とともに深くおわびする。喫煙者を必要以上に差別すべきではないという思いでつぶやいた」
だれがこれを謝罪文と思うだろうか。自らの非を心から反省するどころか、言い訳を述べている。開いた口がふさがらない。