違反者には5万円以下の過料という罰則付き
6月27日、東京都議会での受動喫煙防止条例が賛成多数で成立した。従業員を雇う飲食店で、原則、屋内禁煙を求める。違反者には5万円以下の過料という罰則付きの条例だ。
一方、国会で審議されている健康増進法改正案では、受動喫煙の防止について店舗面積を基準としており、小規模な店は対象外としている。国の法案と都の条例では、都条例のほうが厳しい。都条例は段階的に施行され、2020年4月までに全面施行される。
たばこの受動喫煙防止をめぐり、都と国の規制が違ってしまったのは、なぜなのだろうか。
安倍政権との正面対決を避けようという小池知事らしさ
東京都が最初に条例の考え方を公表したのは昨年9月のことだった。その後、国の健康増進法改正案と対象施設の区分などで食い違いが出た。
このため今年2月、予定していた都議会定例会への条例案提出を見送った。4月にあらためて「従業員がいれば原則禁煙」の条例骨子案を発表した。国の改正案との整合性を図ろうとした。
それでも都条例と国の改正案との違いは残った。都条例は労働者や子供を受動喫煙から守ることに力点を置き、国の法案に上乗せする形で規制を加える検討を進めた。
都の受動喫煙防止条例は、2020年の東京オリンピック・パラリンピックに向けた小池百合子知事の目玉施策だ。安倍政権との正面対決を避けようという小池都知事らしさが、いかにもにじみ出ている。
都民ファーストや公明党が賛成、自民が反対の構図
都条例の対象は、都内の飲食店の約85%に相当する13万軒以上になる。
たばこを吸わない人が増えるなかで評価する声は多い。ただ一部の飲食店は売り上げの減少を心配しており、戸惑いや反発の声もないわけではない。今後どのように違反を取り締まるかも課題のひとつである。
国の法案は飲食店について、資本金5000万円以下で客席面積100平方メートル以下は、例外的に喫煙を認めるとしている。
しかし都条例は面積ではなく、あくまでも従業員がいるかいないかで区別される。従業員を雇っていない店は、「禁煙」と「喫煙」を選択できる。
都条例は、小池都知事を支持する都民ファーストの会や公明党などが賛成した。小池都知事への対抗勢力、自民党は「小さな飲食店の雇用状況は、流動的でしかも確認が困難だ。従業員の有無で判断するのは、実効性がない」として採決でも反対した。
これに対し、小池知事は本会議終了後「国より厳しいが、世界ではもっと厳しい国がある。今後分かりやすく周知し、必要な支援を進めたい」と説明した。