トップの安倍晋三首相も「早く質問しろよ」とやじ

穴見氏のやじをめぐっては野党が一斉に猛反発し、次々と非難の声を上げた。その声を少し拾ってみよう。

「まったく信じられない。受動喫煙の害で苦しんでいる方々が多くいることを認識していない」
「あり得ないやじだ。どういった心境で発したのか理解に苦しむ」
「あまりに心がない。体調不良を押して懸命に発言した患者に対し申し訳ない。自民党政治の劣化極まれりだ」

なかには「首相による少数意見を否定するような対応が、自民党の議員にうつっている」と安倍政権を鋭く批判する声もある。

たばこの問題に限らず、「安倍1強」といわれる政治体制のなか、与党はわが世の春とでも思っているのだろうか。弱者を切って捨てるような雰囲気が漂っている。

トップの安倍晋三首相も、やじを飛ばしている。野党議員に対して「早く質問しろよ」などと叫ぶというのは、首相という立場を忘れているかのようだ。

国会の品位と規律は失われたのか

穴見氏のやじ問題を社説のテーマに選んだのは、朝日新聞と毎日新聞である。ともに6月23日付の紙面で展開している。やじ問題が発覚したのが21日というからそう遅い紙面対応ではない。

まず朝日社説を読んでみよう。

書き出しは「法案審議の参考にするために招いた民間人に対し、国会議員が心ない暴言を吐く。言論の府を自らおとしめるヤジに驚きあきれ、憤りを感じる」だ。見出しも「言論の府をおとしめた」である。

国会の審議の場には品位と規律が必要だ。野球ではないのだ。しかもそうしたやじの対象が、がん患者というのは言語道断だ。朝日社説がここまで怒りをあらわにするのも当然だろう。

穴見氏は国会議員を辞任し、野に下ったうえで頭を冷やすべきだと思う。