なぜお金が貯まらないのか。ファイナンシャルプランナーの山崎俊輔氏は「最大のポイントは、貯金や資産運用を『自動化』できるかどうか。お金が貯まる人は『気づいたらたくさん貯まっていた』という環境を作れている」という。「自動化」できる人のお金の扱い方とは――。

資産形成に成功した人は上手に「手抜き」する

日本人は「努力と根性」を美徳とします。このため「苦労」を重ねている人を評価しがちです。しかし、お金の問題、特に資産形成に関しては成功している人の多くは、実は「苦労」をしていません。むしろ、積極的に「手抜き」をしているのです。

*写真はイメージです(写真=iStock.com/Tuned_In)

世の中には、資産形成することが人生の目的となってしまって多くの時間をつぎ込んでいる人がいます。彼らは仕事やプライベートの時間を犠牲にして、資産形成に励みます。しかし本来、資産形成や運用は、人生のメインテーマである「別の目的」を実現するための縁の下の力持ちとなるべきものです。

「あなたとお金の生存戦略」をキーワードにお金との付き合い方を考える本連載、今回は「徹底的な手抜き」をしつつ、上々の成果を獲得するお金の貯め方、増やし方を考えてみたいと思います。

私が言う「手抜き」とは、貯金と投資を「自動化する」ということです。順を追って説明していきましょう。

貯金を自動化する~会社に財形があるなら、まず「月1万円」】

貯金の自動化には「積み立て」を活用します。ところがこれに失敗する人が少なくないようです。共通点は「手間ひまがかかりすぎている」ということ。例えば……、

・メインバンクのATMでお金をおろし、他行のATMに移動してから振り込む。
・「貯金できる金額」が残るように気を遣いながら1カ月をやりくり。次の給与振込日の前に手元の残高を入金する。

というようなやりかたです。これではうまくいきません。手間がかかって面倒なだけでなく、サボる言い訳も許してしまうからです。後者の場合、「今月は予想外の出費があったから貯金はできなかった」というケースが考えられます。