iDeCo、公務員の関心度・加入割合が高いワケ
老後の資金作りの方法として、知名度が高まってきたのが個人型確定拠出年金「iDeCo」です。掛け金が全額所得控除される節税効果があり、運用益は非課税、さらに年金受取時にも優遇措置があるメリットの多い制度です(概要は後述します。また過去の記事も参照ください:「『iDeCo加入適齢期』損得の分岐点は何歳か?」。
昨年から対象者が増え、メディアで報道されることが多くなりました。
2017年12月時点でのiDeCoの加入者数は74万4690人。加入対象者は約6700万人ですので、1.2%程度の人しか加入していないことになります。注目はされているけれど、利用していない人が多いのです。
iDeCoスタート時は、加入できるのは「第1号被保険者(フリーランスや自営業者など)」と、「第2号被保険者(会社員)で企業年金のない人」だけでした(合計で約4100万人)。その後、法改正された2017年1月からは、「公務員」「会社員で企業年金のある人」、「第3号被保険者(専業主婦・主夫など)」も加入できるようになりました。
その2017年1月からの加入者の推移を「iDeCo公式サイト」で確認すると「公務員」の加入割合が、会社員よりもずっと高いことに気づきます。
iDeCo加入対象の「会社員」は約3580万人で、加入している人は61万4877人(2017年12月時点)。加入率は1.7%で、58人に1人が加入している計算になります。それに対して、「公務員」は約440万人で、加入している人は13万3622人。加入率は3.0%で、33人に1人が加入していることになり、割合でいうと会社員の約1.8倍にのぼります。
▼iDeCoセミナー100人の枠に都庁職員500人殺到
私はときおり公務員の皆さんを対象にiDeCoの仕組みを解説するセミナーに招かれますが、これが毎回大盛況なのです。先日の都職員を対象にしたセミナーでは、100名の枠に500人の聴講応募があったほどです。また、別の日に開催された都庁ホールでは会場いっぱいの500人が集まり、質疑応答の時間は質問をする人が殺到しました。
なぜ、公務員は、iDeCoに加入する割合が高いのでしょうか。
大きな理由として「職域加算の廃止」で年金が減ったことがあげられるでしょう。2015年10月に共済年金は厚生年金に一元化され、給付や保険料は厚生年金の金額に統一されました。また、共済年金独自の職域加算は廃止され、新たに「年金払い退職給付」が設けられました。職域加算と比べると、保険料の負担と、賦課方式から積み立て方式への切り替えで、負担は増えていると考えられます。
そうした老後資金の目減り分を何とか穴埋めしたいといった気持ちがiDeCo加入率に表れているのかもしれません。