「高年収ビンボー」と「低年収リッチ」はどこが違うのか。雑誌「プレジデント」(2016年11月14日号)では、「世帯年収1000万円以上だが生活に余裕がない」と「世帯年収300万円以下だが生活に余裕がある」という人にアンケート調査を実施。そのなかで「健康のための習慣」について聞いたところ、低年収リッチの88%が「なるべく歩くようにする」と答えた。なぜ差がついたのか。3人の専門家に聞いた――。

暴飲暴食しながらがん保険に加入

「低所得者の死亡リスクは、高所得者の約2倍」――近年、注目されるようになった健康と所得の関係。死亡リスク以外にも、「低所得者の要介護者は高所得者の5倍」「うつ状態の高齢者の割合は低所得層に多い」などの研究結果が発表されている。

稼ぎがあれば、将来健康を損なうリスクを軽減できるともいえそうだ。しかし一方で、「お金に頼るあまり、リスク管理を見誤る場合もある」と長崎氏は指摘する。

「たとえば普段から暴飲暴食をしたり、体のケアをほとんどしていないのに、手厚いがん保険や3大疾病保険に加入して、安心している人がいます。これはリスク管理として非常にバランスが悪い。もっとも重視すべきは、日常の健康管理を徹底すること。2番目が定期健診で、早期発見・早期治療によって大きな医療費をかけないように注意する。それでも食い止められない場合、最後の手段として保険や貯蓄が役に立つんです」

それでは老後に備えて、どんな習慣を身につければいいのか。識者の共通した意見は、「あまりお金をかける必要はない」だ。たとえば、高所得者がよく利用するスポーツクラブ。多忙ゆえ入会しても使用頻度が低く、足を運んでもサウナに入って終わりということもありがちだ。

「高い利用費のわりには、意外に見返りが少ない。それよりも健康にいいのが、日常的に家事をすることです。風呂掃除をしたり、洗濯したり、全身を使って結構な運動量になります。奥さんに「家が汚いから俺がやるんだ」と言うと角が立つから、「自分の健康のために動きたい」と伝えるのがいいでしょう。そうやって半径5メートル以内のことは自分でやる能力を高めると、家族に喜ばれて将来的にも実りが多くなります」(菅井氏)

また高齢で活躍する経営者に目立つ習慣が早起きだ。深夜0時前には床に入り、5~6時間の睡眠を取って起床。さらに半身浴、シャワーなど水を浴びて血流をよくして、朝から仕事をバリバリこなす。若手より元気ということも珍しくない。