「高年収ビンボー」と「低年収リッチ」はどこが違うのか。雑誌「プレジデント」(2016年11月14日号)では、それぞれにアンケート調査を実施。そのなかで「家計簿」について聞いたところ、「高年収ビンボー」な人ほど、面倒を丸投げしていることがわかった。家計を改善するにはなにが重要なのか。3人の専門家に聞いた――。

月単位の収支の管理くらいはやったほうがいい

「ストレスを理由にものを買ったり、飲みにいったりする人、自分へのご褒美が多い人は貧しい老後になる可能性が高い」

ファイナンシャルプランナーの長崎寛人氏はそう指摘する。日々のお金の扱い方は人それぞれだが、意識せぬうちに後々の財産形成に大きく影響する。

「自販機でためらいなく飲み物を買う、コンビニをよく利用するなど、小さな支出に無頓着な人や、月に2~3回サウナに入るためだけに数千円以上の会費を払ってスポーツクラブに入っている人など、お金の使い方が丁寧でない人も危険」(長崎氏)

塵も積もれば、というわけだ。

「小さなことだが、老後までの期間が長いほどムダが積み重なり、差を広げる。ありきたりだが、毎日は面倒でも月単位の収支の管理くらいはしっかりやらないと大変なことになる」(同)

元大手銀行支店長でコンサルタントの菅井敏之氏が言う。

「住宅、クルマ、保険、教育費は家計の多くを占める4大固定費。これが家計の70~80%を占める人は恒常的にお金が足りず、貧しい老後の予備軍。50%に抑え込める人は豊かな老後が期待できる」(菅井氏)

クルマは駐車場代、ガソリン代、自動車税、車検費用など、購入後もお金がかかる。

「高収入の人はアッパークラスという自意識があり、新車のセダンを乗り継ぐなどの贅沢をしている人がいるが、金融資産は驚くほど少ない。高収入に酔っている人は脇が甘く、貧しい老後が、低収入でも堅実に身の丈に合った暮らしができる人は豊かな老後が待っている」(同)

保険も同様だ。「毎月、5万円もの保険料を平気で支払っている人も少なくない。その多くは知識不足によるもので、保険にお金をかけるあまり、老後資金がつくれない」(同)。