「高年収ビンボー」と「低年収リッチ」はどこが違うのか。雑誌「プレジデント」(2016年11月14日号)では、それぞれにアンケート調査を実施。そのなかで「定年後に向けて磨いているスキル」について聞き、結果を3人の専門家に分析してもらった。違いをわける点は何だったのか――。
現役時代に磨いておくべき「現場力」
資格はその人の持つスキルをわかりやすく証明してくれる。退職後に新しい道を拓いてくれそうだが、対象を広げすぎて「資格貧乏」に陥る場合もある。
「継続のため、年会費や諸経費を求められる資格もあります。ただ名乗りたいだけの複数の資格にお金をかけていては出費がバカになりません。老後のために資格を取ったはずなのに、そのせいで貯金が減るという本末転倒が起きるんです」(ファイナンシャルプランナーの畠中雅子氏)
趣味で資格をたくさん取得するのは、ボケの防止になるし、生活の張りにもなる。しかし合格しやすい資格ばかり集めたところで、仕事につながることは少ない。「老後の収入源にしたいなら、いまの仕事の延長にある資格を一点集中して取得するべき。たとえば私のようなFPの場合、社労士、行政書士、宅建など。いまも将来も使えて、仕事が広がりますから」(同)
老後に役立つスキルは、突貫工事ではなく、長い年月をかけて磨いたもののようだ。
金融の知識も、少しずつ学んでおくべきスキルである。
「個人で勉強しても、ある程度の知識は学べます。しかし自腹で投資してリスクにさらされないことには、肝心なときにどうすればいいかという機微は身につきません。だから早い時期に1度試して、自分の向き不向きを把握するのも大事。たとえ高収入で資金があっても、損失を被ったときに即取り戻そうと、不利な状況下で強引に投資を進めるタイプは不向き」(ファイナンシャルプランナーの長崎寛人氏)
「自分の好きなことをセーブしてこつこつ貯蓄に励んできた人が、老後にいきなり投資や運用に挑戦してもまず失敗します。退職金がデビュー戦というのは、かなり危険」(畠中氏)