健康促進を心がける人は、サプリメントや健康器具にしばしばお金をかける。しかし、これらが老後の充実に直結するとは限らない、と畠中氏は見る。

「健康に強くこだわりだすと、目的が自己満足に変わってキリがなくなる一面があります。結果、浪費を重ねて、貯金を減らすだけということも。家計的には健康グッズに走らず、“ほどほどに健康”を追求するスタンスが1番いいのでは」

さらに将来の老いを想定した場合、検診を習慣化することも大事になってくる。

「特に勧めておきたいのは、認知症の検診。外傷も疾患もない認知症は自覚症状がほぼなく、周囲も気付かないため、検査を受ける人がほとんどいません。しかも前兆が出たお年寄りに検査を促しても、拒否されるケースが圧倒的に多い。人間ドックで健診を受ける際、同時に認知症のチェックを受ける習慣をつくっておきましょう」(長崎氏)

早期発見できれば、金銭面も含めた老後の苦労をいくばくかは減らせるはずだ。

菅井敏之(すがい・としゆき)
元メガバンク支店長。コンサルタント。1960年生まれ。83年学習院大学卒業、三井銀行(現・三井住友銀行)入行。東京・横浜で支店長。48歳で退職、起業。アパート経営のほか都内で喫茶店を営む。資産形成や住宅・保険の選び方などで講演・セミナー多数。著著に『金の卵を産むニワトリを持ちなさい』『お金が貯まるのは、どっち!?』ほか。
 

畠中雅子(はたなか・まさこ)
ファイナンシャルプランナー。2000年、駒澤大学大学院経済学研究科博士後期課程単位取得退学。大学時代よりフリーライター、1992年ファイナンシャルプランナー。各メディアに連載多数。セミナー、講演、個人相談など。著書に『サヨナラ お金の不安』『ひきこもりのライフプラン――「親亡き後」をどうするか』(共著)ほか。
 

長崎寛人(ながさき・ひろと)
ファイナンシャルプランナー。1963年、長野県生まれ。NPO法人日本FP(ファイナンシャルプランナー)協会会員、CFP認定。国内銀行、外資系損害保険会社を経て保険代理店を経営。その後、介護スタッフとして障がい者施設や高齢者介護施設などに勤務、介護に特化したFPに。著書に『脱・老後破産マニュアル』。
 
(撮影=加藤ゆき、石橋素幸、永井 浩)
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