自分の市場価値を上げるにはどうすればいいのか。立教大学ビジネススクールの田中道昭教授は1000社・10万人以上の「人事ビッグデータ」を分析した結果、「あしたの履歴書」というメソッドを提唱しています。その重要項目のひとつが「仲間とのつながり」。田中教授は「仲間」を意識した典型例として、急成長したユニコーン企業「メルカリ」を挙げます――。

※本稿は、高橋恭介・田中道昭『あしたの履歴書』(ダイヤモンド社)の第2章「『あしたの履歴書』が未来を創る力になる」を再編集したものです。

創業4年で時価総額1000億円以上

「あしたの履歴書」では、目標設定においても、目標を実現していく中でも、仲間(ピア)とのつながりを大切に考えています。実際にも、「あしたの履歴書」の超長期目標設定の項目には、自らが演じていく「主人公」などと並んで、「仲間」という欄も用意されています。ここでは、最近注目されている日本企業の事例を通して、仲間とのつながり、そして目標や目標管理の重要性について見ていきたいと思います。

高橋恭介・田中道昭『あしたの履歴書』(ダイヤモンド社)

「創業4年で時価総額1000億円以上」。ベンチャー投資の世界では、創業10年以内で時価総額1000億円以上の非上場企業は、ユニコーン企業と呼ばれています。日本随一のユニコーン企業が、フリマアプリで有名な「創業4年で時価総額1000億円以上」企業、メルカリです。

私は、「アマゾンvs.アリババ」に対抗する新経済圏を創造する企業が今後10年の間に日本企業から登場するとしたら、それはメルカリであると予想しています。フリマアプリやC2C企業として有名なメルカリですが、その本質を私はP2Pプラットフォーム企業であると捉えているからです。

C2Cとは消費者対消費者取引の略であり、個人を消費者としてだけ捉えている考え方です。そこに一人ひとりの個性はありません。それに対してP2Pとは、Peer to Peer(ピア・ツー・ピア)の略であり、対等な仲間同士がつながるという意味をもった、共創による広がりと大きな可能性に満ちた概念です。ピアという概念は、最近さまざまな分野で注目を集めており、例えば仲間同士が学習し合う創造的学習手法であるピア・ラーニングが有名になってきています。

メルカリの山田進太郎会長兼CEOは、2013年の創業直後から米国展開をスタートさせています。設立当初からメガベンチャーを目指しており、そのために早い段階から上場企業を凌駕するような強固な組織づくりにも取り組んできています。さらにはかなり早い段階から「メルカリ経済圏」という言葉も口にしており、日本、米国、欧州からC2C市場を構築していく構想を明らかにしています。