恋愛、結婚、離婚、再婚、婚活、不倫……。世は変われども、男と女のいさかいが尽きることはありません。行政書士で男女問題研究家の露木幸彦氏のもとには、そんな泥沼状態を抜け出そうと、毎日多くの相談者がやってきます。その痛切なトラブルエピソードを、ぜひ他山の石としてもらえればと思います。
第3回のテーマは、4歳の息子の親権を巡る42歳の夫(会社員)、39歳の妻(専業主婦)の駆け引き。育児放棄する妻と離婚し子供を引き取ろうと四苦八苦する夫の話です。前後編の前編をお届けします。
育児放棄しているのに、子供を引き取ろうとする妻
夫婦が離婚するためには、父親・母親のどちらが子供を引き取るのかを決め、その結論を離婚届に記入しなければなりません。
父親(夫)と母親(妻)、どちらが引き取るのが良いのでしょうか? それは各家庭の事情によって異なります。どちらが子供の面倒をみる親権者にふさわしいのか比較検討しなければなりません。
2つのパターンを客観的に「可視化」をしないと、離婚の場合、夫婦が互いにいがみ合い、憎しみ合い、ののしり合っているので、一向に落としどころが見つかりません。
ところで男性にとっては、なかなか厳しい統計があります。
【厚生労働省「離婚に関する統計」(2009(平成21)年)】
未成年の子がいる家庭の離婚件数13万8632件の親権者
(複数の子がおり、親権を夫と妻が分け合った場合を除く)
・妻が親権者 11万8037件(85.1%)
・夫が親権者 2万595件(14.9%)
未成年の子がいる家庭の離婚件数13万8632件の親権者
(複数の子がおり、親権を夫と妻が分け合った場合を除く)
・妻が親権者 11万8037件(85.1%)
・夫が親権者 2万595件(14.9%)
このように父親の8割以上が子供と離れ離れになるというのが現状なのです。
▼年収600万 42歳会社員を悩ます39歳専業主婦の妻
父親が親権獲得をしようとしてもその実現は難しいですが、私が男女問題研究家・行政書士として多くの離婚相談を受けてきたなかで、母親が親権をあきらめ、父親が親権を持つことになったケースは少なくありません。
ある家庭のケースを見ていきましょう。
<相談者の属性(すべて仮名)>
夫:右原誠司(42歳・会社員・年収600万円)
妻:右原凛子(39歳・専業主婦・年収0万円)
子:右原誠也(4歳。誠司さん凛子さん夫婦の息子)