包丁事件の「伏線」……繰り返される妻の家出
聞けば、妻の家出は初めてではありませんでした。実はさかのぼること2年前。包丁事件の「伏線」となる出来事が起こっていたのです。
「公園の遊具にはバイ菌がいっぱいでしょ? 怖くて誠也は遊ばせられない」
夫は、妻や息子と一緒に公園で遊ぶというほほ笑ましい光景に憧れていました。もちろん、息子も楽しみにしており、夫は「公園に行こうよ」と妻を誘ったのですが、むげに断られてしまいました。夫は思わず「俺たちが子供の頃は大丈夫だっただろう」と言い返したのですが、これが裏目に出てしまったのです。
「どうして、そうやって平気な顔で私のことを責めるようなことを言えるの。結局、私のことを何も理解してくれようとしないじゃない!」
妻はそんなふうに怒声をあげ、そのまま家を飛び出してしまったのですが、2時間もたたないうちに、何食わぬ顔で戻ってきたそうです。焼きたてのパンが有名な喫茶店でテイクアウトした数個のパンを手に抱えて……。
▼とにかく何もしない妻の育児放棄の実態
では、今回の“家出”にはどう対処したらいいか。
「情に流されて奥さんを家に招き入れることで、円満な時間がやってくるかもしれません。しかし、その一方、もっと悪い時間になる可能性もあります。奥さんがまた同じことを繰り返さないとは言い切れません。ちなみに、これまで奥さんに関してほかに困ったことはありませんか?」
私はそんなふうに相談者の誠司さんに投げかけました。すると「そういえば……」と語り始めました
「嫁は人任せで自分では何も息子には教えようとしないんです。息子はまだ4歳なので、性格も素直で教えられたことは吸収しやすい年齢だから、教えるのなら今がいいのに……」
一体、何があったのでしょうか? どうやら妻は息子に物事を教えるのを面倒臭いと感じているらしく、最低限のことすら教えようとせず、結局、夫がすべて代わりにやらざるを得なくなったそうなのです。
例えば、トイレの使い方、衣服の脱ぎ方、箸や茶碗の持ち方、洗顔、歯磨き……。
夫も業を煮やして妻に「少しは自分でやってみたら?」と詰問したのですが、妻は意に介さずに「そんなことは保育園で教えてもらったらいい!」と一喝したそうです。
夫は私を前にして、ひとり言のように「あれは育児放棄だと思うんです。保育園や学校よりも、まずは家で親が基本的なことを教えるべきですよね……」とため息をつきました。