恋愛、結婚、離婚、再婚、婚活、不倫……。世は変われども、男と女のいさかいが尽きることはありません。行政書士で男女問題研究家の露木幸彦氏のもとには、そんな泥沼状態を抜け出そうと、毎日多くの相談者がやってきます。その痛切なトラブルエピソードを、ぜひ他山の石としてもらえればと思います。
第4回は、何の基礎知識を持たずに離婚に踏み切り、大損してしまった男性たちの事例を紹介します。「慰謝料」「婚姻費用」に関するエピソードをお届けした前編に続き、後編は「養育費」「親権」「子供との面会」に関するエピソードです。

守銭奴の元妻「娘が私立高校に合格、至急30万円送れ」

世の中の法律制度や仕組みは必ずしも男女平等ではありません。離婚に至った男性のなかには、ほとんど知識がない“丸腰”状態で離婚に踏み切り、大損する人が後を絶ちません。一方的に不利な条件をのまされて、離婚後は哀れな人生を歩まざるを得なくなるのです。彼らの二の舞にならないために、離婚をするなら何に気をつければよいのでしょうか。

離婚するなら知っておくべきこと その3:養育費】

関西地方在住の山本哲也さん(仮名・42歳)は2年前に妻と離婚しました。当時14歳の娘(ひとりっ子)がおり、妻がその親権を持ち、育てています。離婚時の話し合いで「娘が20歳に達するまで、夫が妻に対して毎月8万円の養育費を支払う」という約束をしました。ところが離婚から2年半後、妻が当然「今すぐ30万円払って!」と連絡してきたのです。

▼子供はまるで“人質” 離婚しても元妻との縁は切れない

妻に聞くと、娘が「私立」の高校に合格したので、月末までに入学金や授業料、施設使用料などを納めなければならないとのこと。突然の話に困り果てた哲也さんは私のところへやってきて、こう話すのです。

*写真はイメージです(写真=iStock.com/ralphp)

「頑張って受験勉強を続け、合格した娘の努力を無駄にするわけにはいきません。結局、(元)妻の無計画ぶりに目をつぶって30万円を渡すしかありませんでした。しかし妻がお金のめどを立てていなかったことは言語道断です」

思えば、元妻は以前から「守銭奴」のようなところがありました。夫の給料を自分が管理するのはいいにしても、夫に毎月渡す小遣いはわずか。「もっと稼いできなよ」とがめつく、金銭欲が強かったのです。そうした事情もあり、妻との離婚が成立し、やっと縁が切れた。もう金がらみで悩まされることもない。そんなふうに安心し切っていた哲也さんは冷や水をかけられたような気持ちだったといいます。