離婚を渋々承諾した妻の「ありえない要求」
なお、読者の皆さんの家庭において「育児の仕方について夫が注意しても妻は聞こうとしない」といった場面に遭遇した場合には、その都度、日時と内容をメモしておくことが大事です。回数と中身を記録しておけば、妻との直談判の場でも役立ちます。
今回の相談者の場合、いずれにしても妻の虐待や育児放棄によって、息子さんの成長への悪影響が懸念されます。私は誠司さんへこう伝えました。
「残念ながら世の中に100%はありません。今までのことを振り返って、再発の可能性が0%ではないのなら、息子さんを虐待の被害から守るのが何より大事でしょうね」
誠司さんは自分の胸に手を当てて「今の惨状を招いたものは何だったのか」と改めて問いかけたと言います。答えはひとつでした。ファーストプライオリティは息子を守ること。ならば、やはり妻と離婚せざるを得ない……。
▼「離婚は、子供を最優先に考えた結果だ」
もし、再び同居すれば、息子は妻がいつ包丁を持ち出して暴れるのかとビクビクおびえる日々を過ごすに違いありません。だから夫は妻に対して「離婚は、子供のことを最優先に考えた結果だ」「誠也にとって、今の家庭環境はとてもいいものではないよね。そうした状況から救ってあげないといけないと思う」と訴えたのです。
当初、妻は首を縦に振ろうとしなかったのですが、「何を言おうと離婚は撤回できないよ。他の選択肢はない」と夫が強調すると、妻は渋々ながら離婚届に署名したのです。ところが、これで一件落着かと思いきや、さにあらず。どちらが息子を引き取って親権者となるのかという詰めの段階になると、いったんはおとなしくなったかに見えた妻は再び牙をむき出したのです。(以下、後編に続く)