コロナ禍で銀行の融資担当者の態度が一変し、教育ローンが借りられないことに。息子の大学の授業料に困ったシングルマザーが頼った先は「離婚した元夫の親」だった。税制の優遇を武器に教育費を確保した戦略とは――。
カフェのテーブルで、スマホにメモを取りながら会話する2人
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コロナ禍で混乱する中、遺言、贈与、相続の法制度が次々施行に

みなさんは、コロナ禍で遺言、贈与、相続の法制度が次々と施行されていることをご存じでしょうか。いずれもお金の損得に直結する条文です。新型コロナウイルスの感染拡大が始まってから、コロナ以外の情報は埋もれがちです。

そこで今回は、数ある制度変更のなかで教育資金の贈与非課税制度を取り上げたいと思います。具体的には「祖父母が孫へ教育資金を贈与する場合、1500万円までは贈与税がかからない」制度です。

厳密にいえば全く新しい制度ではなく、2013年4月から開始しています。そして2021年3月をもって終了する予定でした。しかし、実際には終了せず、期間が「2021年4月から23年3月へ」延長されました。

私は行政書士・ファイナンシャルプランナーとしてコロナで経済的に苦しむ人の救済を行っています。この制度が延長されるどうか……私はコロナ2年目に振り回された人のケースを見てきました。結果的に延長されて窮地を脱したのですが、この制度をどのように使えば良いのでしょうか。

私が受けた相談実例から紹介しましょう。

登場人物(相談時点。名前は仮名)
元妻:八雲好江(48歳。パートタイマー)/相談者
長男:八雲誠也(22歳。大学4年生)
元夫:鎌田辰夫(52歳。職業不明)
元夫の父:鎌田辰則(74歳。内科クリニック院長)