人でなしの元夫ではなく、義父に教育費を負担してもらう方法

人でなしの元夫が毎月、振り込むとは……私はにわかに信じられませんでした。そこで元夫の実家の様子を尋ねると、好江さんは「お父さんは駅前の内科クリニックの院長先生です」と答えます。養育費の出所は元夫の父親(以下、義父)なのでしょう。そこで私は「それなら授業料も義父に直接、頼みましょう」と提案しました。

本来、祖父が孫を援助すると贈与税がかかります。一般的に相続税より贈与税の方が重い。例えば、1000万円を渡す場合、贈与税なら275万円(税率40%。控除125万円)、相続税なら100万円(税率10%)です。

なるべく贈与税がかからないように生前贈与をしなければなりません。一例を挙げると暦年贈与。これは年110万円までは非課税という制度です。しかし、今回の場合、毎月の養育費(9万円×12カ月=108万円)に加え、授業料の50万円を加算すると110万円の枠を超えます。どうしたらいいのでしょうか?

教育費の贈与が1500万円まで無税になる制度を活用

そこで役立つのが今回の制度。祖父母から孫へ教育資金を贈与する場合、1500万円まで非課税。つまり、授業料の50万円も無税で贈与できるのです。

しかし、好江さんは「でも息子は成人しています」と弱気。当時の成人は20歳以上だったからです。2022年4月から18歳以上に変わりますが、私は「大丈夫」と勇気付けました。なぜなら、贈与を受ける側の年齢制限は0~29歳だからです。

好江さんが義父に宛てて手紙をしたためたのは2021年8月。「最後の授業料を援助してください」と。大学の納付書と一緒に送ったのですが、義父は「節税の枠を超えるから」と拒否。特例が2021年3月で終了したと思っていた様子。私は「2023年3月まで延長されました」と助言しました。

好江さんがそのことを伝えると義父は「外孫だって俺の孫だ。かわいいよ」と言い、郵便局へ納付書を持ち込み、50万円を納めてくれたそうです。今回の制度は名前の通り、その使途が教育資金に限られます。どこにいくら納めるのか。具体的な名称(教育機関等)と金額が明らかでなければなりません。いくら節税効果があるからといって使途不明なお金を贈与した場合、非課税が適用されないので注意してください。