お金に関する法律相談件数が増え続けている。あなたは法律を知らないことで"大損"しているかもしれない。雑誌「プレジデント」(2017年10月16日号)の特集「ヤバすぎる『法律』の常識」から、「残業代」「セクハラ」「相続税」などについての法律知識を紹介しよう――。

社内不倫は別れ際にこじれる

「職場内で恋愛関係に陥る男女はとても多い。不倫関係を持つ人も結構な数いるようです」

そう語るのは弁護士ドットコム執行役員で弁護士の田上嘉一氏。なぜか?

「スマートフォンの普及によって連絡が取りやすくなり、バレにくいように浮気や不倫ができてしまうからでしょう。一方、LINEのキャプチャーを残す文化も根付いている。つまり、証拠が残りますので、別れ際にこじれるケースも増えています」

その証拠をもとに相手に社会的な制裁やダメージを与えようとすることもあるようだ。上司と部下の関係にある職場内恋愛であれば、上司が部下に嫌がらせをしたり、職場外恋愛であれば、ふられた相手が職場に乗り込んだり、職場に内容証明郵便を送り付けたり。

「もちろん、度を越せば恐喝やストーカー、パワハラ、セクハラなどで訴えることができますから、弁護士や警察に相談すべきです。しかし、たとえば『同じ職場の上司と不倫して、別れたら評価を下げられた』という場合、その評価が妥当かどうかを判断することは難しい。法律的には解決できません」

タレントのベッキー、政治家の今井絵理子議員や山尾志桜里議員など、男女問題に対する世間の目は厳しくなるばかり。だが、一般庶民の世界でも同じように、さまざまな男女問題が繰り広げられているというわけだ。

「交通事故や消費者被害、労働問題などは、実際に被害にあったり問題が生じたりする前に思い悩むということはまずありません。一方、離婚・男女問題については、何か大きな問題があるかどうかにかかわらず、常に悩みの種を抱えているといえます」