選ばれなかった人への気遣いをする企業
選ばれた人でも毎年のスクリーニングによって外れることがあり、その場合のリスクを考慮して本人にも伝えないのだという。
選ばれない人に対する気遣いと、逆に選ばれても落とされた場合の気遣い。本当に日本の会社はやさしいとつくづく思う。
だが、そんなにやさしく見守りながら特別のコースを歩ませて、将来、グローバル競争を勝ち抜けるような強靱な経営者が育つのだろうかという疑問も抱かざるを得ない。
外資系企業の場合はそういうことも割り切ったうえで、最適な人材を見極めて、特定の層に集中教育投資をするのが当たり前だ。それが経営戦略のひとつになっている。
選ばれた人は当然、周囲から厳しい目で見られるというプレッシャーを感じるだろうが、それをはねのけて成果を出していくことが、本人を鍛える要素のひとつになっている。
もちろん、多くの企業では選ばれなかった人を決して切り捨てるわけではない。そういう人たちにも相応の人材投資によって戦力化していかなければ企業の成長もない。役員にはなれないかもしれないが、部長や社内唯一の専門家になれる可能性もあるのだ。
選ばれたことを本人と社内に明示したら、本当に、選ばれなかった人たちは腐って何もしなくなるのだろうか。
日本企業も昔と違って社員の仕事に対する価値観も多様化している。出世志向が薄いと言われる社員も増えているし、実際はそんなことはないのではないか。