文章を書くのが苦手だ。メールの表現に悩み、時間がかかる。マナーに厳しい取引先がいる……。一般的な書き方を知れば、面倒は減る。今回、ニーズ別に、フレーズと文例を集めた。日本ビジネスメール協会の平野友朗さんと「ビジネス表現の基本」を確認しよう。

難解な表現よりもいつもの言葉で

お詫びが必要なときは、つい肩に力が入って、難解な文を書いてしまいがち。肝心の受け手はどう感じるでしょうか。たとえば「陳謝いたします」は最上級のお詫びの言葉ですが、これを22歳の社会人1年生が書くか60歳の経営者が書くかでは、意味合いが変わってきます。「自分は会社を代表している」という認識があるような人を除けば、「ご迷惑をおかけしましたことをお詫び申し上げます」と書くほうがいいでしょう。大切なのは、ふだん使っている語彙のなかから、その場にふさわしい言葉を選び出すということです。

相手が勘違いをしているなど、自分に非はなくても事態を収めるために謝罪しなくてはいけないときもあります。その場合、安易に謝罪すれば責任を認めたことになりますから、ストレートな謝罪の言葉は使えません。私自身が使っているのは「ご迷惑をおかけしております」という言葉です。トラブルの原因ではなく、その結果生じている業務の遅れなどについてお詫びするという形です。現実にはこのような「お詫び」が多いのではないでしょうか。