文章を書くのが苦手だ。メールの表現に悩み、時間がかかる。マナーに厳しい取引先がいる……。一般的な書き方を知れば、面倒は減る。今回、ニーズ別に、フレーズと文例を集めた。日本ビジネスメール協会の平野友朗さんと「ビジネス表現の基本」を確認しよう。

「あなたに会いたい」感情に訴えかける

大規模イベントから少人数の会食まで。ビジネスパーソンもある程度の年齢になると、お誘い・案内の文章を書く機会が増えてきます。相手に「参加したい」と思わせるには、どう書けばいいでしょうか。まずは感情に訴えることが大切です。客観的にイベント内容を案内するだけではなく、その際、相手に「会いたい」ということを書き添えるのです。「いつもお元気な○○さんに会えるのを楽しみにしております」と書けば、先方も悪い気はしないでしょう。

事前に「何を伝えたら来てもらえるか」をリサーチしておき、その人に合った誘い方をするのも一つの方法です。たとえばゴルフコンペを開くとき、初心者はふつう尻込みします。その場合、心配を払拭するために「初心者向けのコースです」「ゴルフ初心者という方がたくさんいらっしゃいます」と書いて安心してもらいます。また、飲食の好みがわかっている相手には「美味しい日本酒を用意してお待ちしております」などと書く。文面からこちらの気遣いが伝われば、先方も参加を前向きに考えてくれるはずです。

【基本のフレーズ】

◆ご案内申し上げます。
――催し物を知らせるときの定番表現。さまざまなケースで使えるが、吸引力はやや弱い。

◆ご案内方々、お誘い申し上げます。
――「ご案内申し上げます」よりも踏み込んだ表現。「来てほしい」という思いが伝わりやすい。

◆お気軽にお越しください。
――相手の心理的ハードルを下げたいときに。

◆◯◯さまのご参加をお待ちしております。
――ある程度親密な相手には、「会いたい」という気持ちを込めてこう書く。

◆お越しいただけることを、一同楽しみにしております。
――上得意を誘う際など、「一同」を含めると、相手を大切にしていることが伝わりやすい。

◆ぜひとも、お越しいただきたく。
――儀礼的ではなく、本当に来てほしいと誘うときに。語尾を省いたため、くだけた調子。

◆お時間が許せば、出席のご検討をお願いいたします。
――目上の相手に、押しつけがましい書き方はNG。少しへりくだって、これくらいの表現に。

◆美味しい日本酒を用意してお待ちしております。
――先方が喜んでくれそうなことを一言添える。日本酒好きの相手に。

◆ご興味があれば、あらためて案内状をお送りします。
――メールで誘うときの書き方。このケースでは別に案内状を用意している。