次は熟成ブームに飛び火?

私がしばらく前から気になっているのは「熟成肉でも食中毒が起きるのではなかろうか」という点です。この数年、飲食業界では熟成肉が一大ブームとなっています。熟成肉とはその名の通り、肉を一定期間熟成させたものです。熟成によってタンパク質がうまみ成分であるアミノ酸に分解されることで、肉のおいしさが増すとされます。

専門的な知識のあるプロが、的確な器材を使用して肉を熟成させるならば良いのですが、安易にブームに乗ろうとする店の中には、見よう見まねで独自に取り組んでいるところもあります。また最近ネットでは、自宅で簡単に熟成肉をつくる方法が紹介されていたりもします。

言うまでもありませんが、知識や技術がないまま食材を熟成させようとすると、それは「腐敗」と紙一重です。「腐敗肉」によって引き起こされる食中毒事件が起きないと良いのですが、最近の様子からはどうもその危うさを感じてしまうのです。

レバ刺しやユッケが法的に規制されたことは記憶に新しいことでしょう。たった1件であっても、それが死者を出すような被害につながるならば、熟成肉についても法律上の制限がかかる可能性はゼロとは言えません。プロの手による長期熟成した肉の醍醐味を味わえなくなる日が来てしまうかもしれないのです。